私の知り合いからの依頼。

2階建ての木造の建物。以前は1階にカメラ屋さんで2階が美容院。

この建物を購入した友人は1階を店舗に。そして2階を自宅に。

この計画をうれしいことに当サイトに依頼してくれました。

現地を見に行く前に要望はある程度聞いていました。1階の店舗は、黒色を使ってモダンなデザインに仕上げてほしい。黒色を使うけどイメージとして暗いのはNG。店舗の用途は古着屋さん兼お酒を出すバーで壁際に服を並べ、カウンターとテーブルを設けてほしい。自宅に関しては和風に。ただ、和風に偏りすぎず和洋折衷。間取りは、LDKに和室と寝室・浴室・洗面脱衣室・トイレを設ける。この段階は図面もまだ見ていないので話を聞くだけでした。

話を聞いてから2週間ほどしてから、不動産屋さんと契約を交わし1階の店舗と2階の自宅のリノベーション計画を進めてほしいという連絡を受けたので、まずは現場を見たいことを伝えました。

現状の図面や写真を見ていないので、現場の状態や建物の大きさを見るのはこれが初めて。

建物の作りは路面店によくあるように1階はシャッター。そのシャッターの隣に2階に上がる階段がある作り。路面店にぴったりの条件の建物。

外観を見て思ったのは、1階は問題ないにしても2階に資材を搬入できるかということです。

道路に面した壁に窓があれば、そこから大型の資材を搬入することは可能でしょうが、壁であるため大型の資材搬入はできるだろうかと早速問題点とぶつかりました。

1階シャッターを開けて中を見ると、思っていたよりも大きな建物。中は汚れがひどくクロスは剥がれており汚い状態。

間仕切り壁がないのでホっとしました。2階も同様で解体に手間取るような間仕切り壁などはなく、広い空間が一つあるだけでした。

2階とも店舗に使用していたため、スケルトンの状態なので細かく寸法を取る必要はなくアウトラインと天井高を寸法取り。

水道・ガス・電気が2階ともに引き込まれていました。

建物内や道路幅の寸法などを測り写真を撮り終わった後で、クライアント様と間取りや要望などについて話ました。

用途は上記でも記載しているように1階が店舗で2階が住宅。予算は700万円。

店舗は和洋折衷と難しい注文。2階の住宅はLDKに和室と寝室・水回り(浴室・トイレ・洗面脱衣室)の他に仕入れた洋服やお酒・食材などをストックできる場所と、事務所としてのスペースがほしいと言われました。

また、多数のゲストを呼べるようにLDKを広めにし和室と連動した空間を作ってほしい。

打ち合わせ内容を一通りまとめた後、クライアント様と別れ早速プランニングに取り掛かりました。

間取りやデザインに関しては任せるということなので、まずは分かっているところから作成。

店舗は、真ん中に大きなテーブルを設置し両サイドの壁面には服を掛けれるようにハンガーパイプを取り付ける。奥にレジ兼カウンター席を設ける。要望にはありませんでしたが試着室を盛り込むことにしました。

ファサードを幾何学的なデザインにしたり内部に吹き抜けを設けたりと魅力的な店内にという想いはありましたが住宅部分の工事費用を考え予算の関係上「最小限にして最大の魅力を引き出すには?」を考えていくしかないときました。

1階の店舗は大きくではありますが1日ほどでゾーニングを終えましたが、住宅はゾーニングで2日ほどかかりました。

縦長のアウトラインに対し大きく左側と右側に分けることにし、水回りとLDKを左側に。右側には和室や寝室・事務所兼ストック室を設けることにしました。

簡単な平面プランをまとめ、まずは間取りとしての方向性を決めていくため、まとめた平面プランをクライアント様にメールで送信し、電話で送った平面プランの説明をしました。店舗ではセンターにテーブルを置き、奥がレジカウンター。

住宅は、細長のアウトライン(外壁)に対して真ん中で割った間取りの考え方(ゾーニング)を伝えました。

数日考えてもいいですかという返事が帰ってきたので、いいですよと答えました。2日ほどしてからプランニングを進めてくださいと連絡がありました。

間取りは、いいけどデザインをもっと良くしたいと言われ、これから考えていきますと伝えました。

この時のプランのデザインはなんとも味気ない。店舗なのでダイナミックなことをしたいと思っているのですが予算から考えて難しく、なかなかアイデアが浮かばないし方向性も決まらないことに正直なところ焦っていました。

リノベーションプランは店舗だけではありません。住宅部分もあるのでまずは切り替えて住宅から取り掛かることにしました。

住宅部分の平面プランを見てクライアント様の要望に対してゾーニングは悪くはない。しかし、四角い間取りがズラリとただ並んだこれまた味気ない平面図に思い悩みました。

他の案件も同時並行で進めていかなければいけない。焦るばかりで空間構成やデザインのアイデアがいまいち浮かんでこない。ここで、今一度クライアント様の要望をまとめることにしました。

この時、和洋折衷という言葉が頭に浮かびました。クライアント様は和風の落ち着いた雰囲気をすごく好んでいる。

同時に洋風の見た目で刺激を受けるようなデザインも好んでいました。

和洋折衷という言葉にイラっとしました。和風と洋風は綱引きみたいなもので全くの真逆。この真逆の両者を組み合わせる和洋折衷って?

これまで何気に発していた言葉ではありますが、いざ自分がこの言葉をデザインとして表現する立場となった時、一歩も足を前に動かすことができない状態になりました。

私は、寝たり少し仮眠を取るとうまくアイデアがまとまるという過去の経験から少しばかり仮眠をとりました。

だいぶ前に宮本亜門は布団で寝る時にアイデアが出るとだいぶ前に聞いた覚えがあり、確かにリラックスし寝たり仮眠を取る時、アイデアがまとまりやすくなる。この時もそうでした。

一つの部屋に和洋折衷を表現する必要はない。

例えばLDKは洋風で和室を和風としそれぞれの部屋をうまく繋げることができればこれも和洋折衷になると考え平面プランを見て和室を住宅部分の主役として考えることにしました。

一つ何かがハッキリと決まれば芋づる式にアイデアがまとまってくる。LDKの仕上げはつやなしの塗装仕上げと考えていましたが、ザラつきのあるタイルを使うことで和風を出すことにしました。

実際にタイルを貼った後を見た時、目地がすごくいい味を出していました。扉を黒色にし和風のイメージを引き出すことにしました。住宅部分のリノベーションプランはなんとかまとめることができ次は店舗。

2階の住宅部分はうまくリフォームプランをまとめることができましたが1階の店舗部分は出てこない。このままズルズルと考えていても時間がもったいないので、デザインは後回しにして、まずは間取りを押さえて概算見積を優先することにしました。

そうすることでだいたいではありますが、工事にかかる費用を知ることができどのくらい店舗にお金をかけられるかを知ることができる。

店舗部分は間取りといっても中央にテーブルがあり奥にレジカウンター。そしてトイレに試着室。床はモルタルで仕上げる。

これらを平面図にまとめて住宅部分の平面図と合わせてプランをクライアント様に送り電話で説明をしました。

住宅部分は平面プランに簡単なスケッチを添え和室を主役とした空間構成としていることを伝えました。

店舗に関しては、まず概算見積を見てから具体的にデザインを考えていくという方向性を伝え、仕上げを珪藻土とし床・天井は塗装仕上げとしていることを伝えました。
住宅部分の空間構成やデザインは気に入っていただきクライアント様も工事費用を早く知りたいとのことでしたので、ここで概算見積を施工会社(工務店やリフォーム会社)に依頼するための図面を作成することにしました。

店舗兼住宅のリノベーション工事の概算見積

他の案件の事もあってバタバタとしていましたが、1週間ほどで概算見積用の図面を完成。

出来上がった図面をクライアント様に確認をしてもらいました。

すぐに施工会社に図面を送って概算見積の依頼をしてもいいのですが、プランをじっくり見るのも必要かと思い2日・3日プランと向き合う時間を作ってはどうですか?

と聞いたところ、図面は毎日に見ており、現場でスケールで測り間取りには満足しているという答えが返ってきました。
図面を毎日見ている方は平面図などを立体的に捕らえることができるでしょうが、あまり見る機会がない方が図面を理解するのは難しい。
平面図などに記載されている寸法をより現実的に落とし込むためには、現状の間取りの大きさと比較するのが最も分かりやすく、リアルに図面に記載されている寸法の大きさを把握することができます。

クラアイアント様に概算見積用の図面を確認していただきOKの返事をいただきました。

図面を施工会社に送る少し前にクライアント様から仕上げについてオーダーがありました。

それは、玄関ホール・LDKの床をタイル貼りにする。そして玄関ホールとLDK・和室の壁・天井を漆喰塗りにするという内容でした。

このオーダーに対しおそらく予算オーバーになる事を伝えましたが、強い希望なので図面を訂正しました。

訂正図面をクライアント様に送り確認していただいた後に図面を5社の施工会社に送りました。施工会社には見積書は住宅部分と店舗部分の金額調整がしやすいように分けてもらうように依頼しました。

(この段階では、まだ施工会社はクライアント様の住所を知らない状態です。なので概算見積書を含めクライアント様と施工会社とのやり取りは全て当サイトを経由することになります。)

1週間ほどして5社全ての概算見積書が届きました。

結果は950万円~1120万円と予算をものすごい勢いでオーバー。これにもし、解体工事が加わっていればもっと超えていただろう。(実際はスケルトン状態なので解体工事はありません)

見積金額を平均すると住宅部分で約750万円。店舗で270万円。リノベーション工事のボリュームとしてそれほど大きいというわけではないのに対し、この予算オーバーは厳しい。

しかし、どこで調整するかはハッキリとしているので、それほど焦りはありませんでしたが、調整後も予算をオーバーをしないかというのが心配。

見積書がクライアント様の元に届いた後は、施工会社とのやり取りへと進みます。

このやり取りによって金額面での調整や見積書に対して疑問に思うこと、それぞれの施工会社に対する事(アフターメンテナンス・実績)などについて質問し、それに対して施工会社は返事をします。(上記でも記載していますが、この段階ではクライアント様と施工会社のやり取りは当サイトを経由して行われます。)

このやり取りの後に、2~3社ほどに絞込むのが理想的です。絞り込むために、質問に対する返答の分かりやすさであったり(相性)、会社の信頼性、アフターメンテナンスの考え方、実績から判断するため見積金額だけでなくやり取りの内容も非常に重要になってきます。

(個人的に思うのは、設計事務所から工事の依頼がある施工会社は施工レベルが高いということ。その分、工事費用が高くなる会社もあります。)
戸建ての建物の場合には、特に聞いておくべき事があります。それは、水回りなど壁や床を解体した時に分かる部材の痛み具合に対し、どのように対処するかということです。傷み具合がひどい場合は追加工事になり費用がかかってきます。対処の仕方は施工会社によって違ってきますので必ず聞いておきましょう。

予算オーバーに関しては、玄関ホールとLDKの床のタイル仕上げをフローリングに変更。そして、漆喰塗りを部分的に絞り込むことで調整するのが理想的ということを伝えています。

なので、施工会社に金額調整に対する質問は、その方向性でするといいでしょうと伝えました。

施工会社とのやり取りは当サイトも見ており、質問に対する返答が説明不足なところがあれば、あらかじめ当サイトから施工会社に連絡し返答内容をわかりやすくまとめたりします。

やり取りの結果、クライアント様は2社に絞りこみました。

現地調査

絞込みが終わると現地調査をすることになります。

現地調査とは、施工会社がクライアント様のご自宅を訪問し

  • 図面通りに工事ができるか。
  • 図面と現状の間取りの大きさに違いはないか。
  • 現場を確認し工事するのが難しいところはないか

などを確認します。

現地調査のため、絞り込んだ施工会社にはクライアント様のお名前や住所などを伝えます。

連絡先を聞いた施工会社は現地調査の日程を決めるためクライアント様に連絡します。

現地調査は1社ずつ行います。なので、今回の場合であれば2社に絞り込んでいますので、クライアント様には2回現地調査のための時間を作ってもらうことになります。

現地調査は約2時間程度かかります。
相性を知る非常にいい機会ですので質問があれば遠慮なくすることです。

当案件は、材料搬入が問題でしたが、ベランダから取り入れることに決まりました。

ただ、手間がかかるためその分、金額が割高になるとのことでした。

リノベーション工事の正式見積の確認

現地調査が終わると、正式見積へと進みます。図面の調整は正式見積書の依頼前に済ますのが理想的です。

店舗部分の仕上げをハッキリさせていかないといけません。概算見積から考えてお金がかかる仕上げはできない。ある時、コーナンに行く機会があり、そこでコンクリートブロックを見ました。

単なるコンクリートブロックですが直感でデザイン的に使えると思い、このコンクリートブロックを意匠的に使うことはできないかという発想に切り替わりました。

おもちゃのレゴを使って家を組み立てるようにコーナンのコンクリートブロックが置いてあるところで積み方を変えたり色々と試している時にこれだというものが浮かびました。

両サイドのハンガー掛けにこのコンクリートブロックを使う。また中央に置くカウンターの土台にコンクリートブロックを使う。

ならば、カウンターは厚みのあるドシっとした板がいいと思い杉板を採用することにしました。

これで店舗の仕上げは大きく進展し後はレジバックの壁面をどうするか。レジバックはファサードの次に重要な部分。

レジカウンターはコンクリートブロックを使うことにし、少し物足りないという気持ちはありましたが、レジバックをモルタルの上、塗装仕上げにすることにしました。

工事費用をおさえるために、広島からクライアント様のお父さんがくることになりました。職人さんではないのですが、もの作りが得意で家でもDIYで色々なものを作っていたと。

モルタルで金コテで押さえられるというので、頼むことにしましたがちょっと心配でした。またコンクリートブロックを積むことやレジバックのモルタルもお父さんがすることになり、塗装などはクライアント様とお父さんが行うというこれまでにない現場になりそうです。

店舗は仕上げなどすべて図面にまとめました。住宅部分は床はタイル貼りからフローリングに変え、玄関ホールやLDKなど漆喰塗りだったのを和室のみとしました。

間仕切り壁を一部変更し玄関ホールからLDKにアクセスする廊下にカーブを付けるなど住宅部分のプランもほぼまとめ終わりました。

クライアント様には浴室やトイレ、洗面台などは、ほとんど決まっている状態と聞いていたのですが最終的に決めるにあたってショールームを一緒に回ってほしいと言われたので、ユニットバスやシステムキッチン・トイレなどを見るためショールームを1日かけて見てまわりました。

この時、照明器具も選び店舗にはシャンデリアを取り付けることにしました。

設備機器も含めてプランがまとまったのでクライアント様に確認のため正式見積用の図面を送りました。

この段階にくるとクライアント様もどの図面のどこを見ないといけないのか容量を掴んでいるのでOKの返事を当日に受け取ることができました。2社の施工会社には図面を送り正式見積書の依頼をしました。

この正式見積で注目されるのは、タイルからフローリング変える。

また、漆喰塗りから塗装に変え、1階の店舗部分の仕上げはお父さんが行うという変更後、予算である700万円に納めることができるかということです。
正式見積書は郵送ではなく、施工会社の社長さん(担当者)が手渡すことになっています。理由は、見積書に記載されている内訳の説明があるからです。この説明によって、クライアント様の要望が見積書に反映されているかを詳しく知ることができます。
また、最終的に2社ある内のどちらかに工事を依頼する会社として絞りこまなければいけません。その際、この説明が分かりやすいかどうか。質問に対して受け答えはどうか。など絞り込むにあたっての判断基準を知る重要な手がかりになります。見積金額もリノベーション(リフォーム)工事を依頼する重要なポイントでありますが、相性も欠かせない重要なポイントです。

1週間ほどしてから、正式見積書がクライアント様の手元に届けられました。

(見積内容は当サイトも確認します)

見積金額は750万円と770万円。最終調整へと交渉しますが、あまりに値引きに力を入れてしまうと今度は工事に支障が出てしまいます。交渉の結果、740万円から700万円へ。そしてもう一社は770万円から730万円。

双方とも過去の実績から施工レベルが高く、会社の信頼性、アフターメンテナンスも良い。しかし見積金額は30万円の差が生じました。クライアント様は730万円を提示した会社を選びました。

決めてとなったのは、見積書の内訳の説明。過去を振り返って思うのは、この説明で決まることが多い。

今回も金額だけで選ばず相性も考えて選び私個人もその選択には賛成しました。

今回は大きく予算を超えた中、予算内に収まるように金額調整を行っていただいた施工会社さんに本当に感謝します。選ばれなかった会社には、工事の依頼先として信頼性など良かったのですが、最終的に相性で決めたクライアント様の考えを伝えました。

また、これからもリノベーションやリフォームを考えている型に選ばれるサイトにしていくので今後ともよろしくおねがいしますということを伝えました。

リノベーション工事の準備

施工会社は、クライアント様と契約を済ませると工事に向けて材料や職人さんの手配など準備にとりかかります。

この段階では、まだはっきりと決まっていない仕上げ材料(フローリングや塗料の品番など)があれば、この段階で決めていきます。
この着工までの準備期間の中でクライアント様におねがいしていることがあります。
それは、仮住まいへの引越しの準備です。

着工までの間に引越しの準備をしていただき、着工まえまでには仮住まい先に引越しされている状態にしていただくようおねがいしています。

着工日がいつか?ということは工程表に記載されています。
工程表:解体、壁や床下地の組立、壁のボード貼り、塗装など各工事の工程を順番に表に表したもの。

この着工前の段階でクライアント様が行うことは上記に記載していますように、仮住まいへの引越しと仕上げ材料などまだ決まっていない事を決めていく。

また、近隣へのあいさつもこの準備期間に行います。近隣へのあいさつは施工会社が行いますが、クライアント様もあいさつ回ることをおすすめします。

店舗兼住宅のリノベーション工事着工~竣工(引渡し)

リノベーションやリフォーム工事の場合、着工は解体工事から始まりますが、今回の案件では間仕切り壁などがない状態ですので、材料搬入となります。

1階は、問題なく取り入れることができましたが2階に必要な大型資材は窓からの搬入なのでかなり大変そうでした。しかし、もっと大変な現場もあると聞き、現場の人たちは体力だけでなく周りの建物に配慮しながらなので神経もすごく使うのだと思いました。

材料搬入が終わると墨出しをし壁下地を組んでいきます。
墨出し:壁をどの位置にどこまで建てるかを墨を用いて地面にけがくこと。

材料搬入と墨出しを確認した後は、クライアント様のお父さんが仕上げに入る前に一度、声を掛けてほしいと現場監督さんに伝えました。

やはり、店舗のレジバックの壁を単にツルっとした塗装仕上げは、あっさりすぎると思いギリギリまで考えようと思ったからです。

1週間ほどしてから1階の店舗部分は間仕切り壁にプラスターボードが貼られ後は下地調整をして仕上げるところまできたと現場監督さんから電話があり翌日に現場に確認しにいきました。

この時まだ、どのような仕上げがよいか決まっていなかったので正直、焦っていました。

現場に着くと建物周りの壁と内壁がボード貼りまで終わっている。

トイレはモルタルの素地仕上げとしていたので、クライアント様のお父さんはトイレの内の壁にモルタルの下塗りをしていました。

下塗りを見た瞬間にレジバックの後ろの壁に仕上げはコレだと。コレ以外にない。と判断しました。トイレ内は、コテを使ってきれいに仕上げて終了なのですが、下塗りの粗さをデザインとすることにしました。

このことにクライアント様のお父さんや現場監督さんはすごく驚き、きれいに仕上げたほうがいいのではと言われましたが、下塗りの状態を仕上げとすることにしました。
茶人である千利休は下塗りの粗さを仕上げとしました。私と同じように職人さんが土塗り壁をコテで下塗りしていたのを見て「コレだ!」と思ったのかもしれない。前々からどうして上塗りせずに下塗りの段階で止めたのか。この時、分かったような気がします。

クライアント様には、レジバックの後ろの壁は下塗りの荒い状態の上に塗料を塗るという方向性にすることを伝えました。

いまいちどのような状態に仕上がるのか伝わっていないと思いましたが、出来上がったところを見ると気に入ってもらえるだろうと思いクライアント様のお父さんにトイレの内壁と同じような仕上げをレジバックの壁にもおねがいしました。
現場に行く前はレジバックの仕上げが決まっていない状態に焦っていましたが、仕上げが決まりほっとしました。

次の日の夕方にまた現場に行き、レジバックの後ろの壁がどのように仕上がっているのかを見にいきました。予想通りというか予想以上の出来栄えに満足。

クライアント様のお父さんと現場監督さんは最初は心配そうでしたが、出来上がると思い直したようでした。クライアント様も非常に気に入っており一安心。店舗は入口ファサードとレジバックの壁は非常に重要なのでうまく納めることができ良かったです。

2階の住宅のほうは、壁・床・天井の下地がほとんど終わっている状態でした。

内装工事の職人さんに電気屋さんや設備屋さんが同時に作業しており、非常に忙しくゴチャゴチャしている現場になっており、過去に現場監督をしていた時のなつかしい記憶が蘇ってきました。

「設計の道を志すなら現場監督の仕事は3年までにしておきなさい」現場監督時代に建設会社の統括部長に言われた言葉が思い浮かびました。

この言葉の意味は今なら理解できますが、当時は何を言っているのか?分かるようで理解できませんでした。統括部長は設計の道から工務店や建設会社で現場監督の道に変えた人。設計から現場監督に進む道を変えた人の言葉には、何か深い意味がこめられていると思い辞めることにしました。

統括部長が言っていた言葉の意味は、設計をする人は想像を現実に変える仕事。そこにはチャレンジ精神が求められる。

しかし現場をあまり見すぎてしまうと納まりばかりを考えてしまい夢のない図面になってしまう。統括部長は、定年で退職しており今では年賀状でしかやり取りをしていませんが気にかけてくださっている内容にうれしく、またお会いしたいなと思います。

現場監督として現場を見るとそこには「どう納めるか」という考えしか生まれませんでしたが、設計という視点から現場を見ると設計のヒントになることがたくさんある。

見る視点によって世界観がこうも違うのかと思い現場を後にしました。

現場は特に問題なく進み、引渡し前の完了検査のため現場に足を運びました。

1階の店舗はコンクリートブロックと中央に配置した杉板がファサードの重要な役割を担っており、内部はホワイト・オレンジ・ブラックの色を使い照明はシャンデリアでモダンでありながら和風の雰囲気を出す内装。

2階の住宅も同じく和風の雰囲気を感じさせるデザイン。

傷がところどころにあったのでタッチアップによって補修をし、設備機器(照明や浴室・トイレ・洗面台)などが作動するか。また取り扱い説明を受けて検査は無事に終了。

店舗兼住宅は色々と気を使うことが多く大変ではありましたが、無事に終わり良い経験をさせていただきました。

クライアント様の呼びかけによって彼と彼のお父さんと現場監督さんと私と居酒屋さんで現場がうまくおさまったことを祝福し乾杯をしました。クライアント様のお父さんは息子さんと久しぶりに会い、息子さんの役に立ったことをすごくうれしそうに話ており、フラフラになるくらいまで飲んでいましたが、翌日はササっと荷物をまとめて広島に帰られたそうです。

現場は引渡しと共に終わります。

(アフターケアに関しては、契約前にしっかりと確認しておきましょう。)

店舗兼住宅のリノベーションプランと写真