【屋根リフォームの必須知識】方法と材料について
屋根のリフォームには、屋根材の塗膜が劣化したため塗り替えるというメンテナンス目的以外にも、耐震・耐風圧の対策、あるいは遮音性や断熱性を高める目的で行うケースもあります。

また、古くなって傷みがひどい場合には葺き替える場合もあります。

目的に応じた方法や材料についてこれからお伝えしていきますので、参考にしてください。

屋根リフォーム工事の方法

屋根のリフォーム工事は大きくわけて3つあります。

  1. 塗替え塗装
  2. カバー工法
  3. 葺き替え
以下に3つの工事についてまとめていきます。

簡単な屋根リフォーム【塗り替え塗装】

最近の屋根材の塗膜は10年保証されています。

この場合であれば10年後に塗り替えれが問題はありません。

しかし、過去のアスベストが用いられていた住宅用化粧スレート瓦などは、最近のものに比べて塗膜が弱いため7~8年くらいで塗り替えたほうがいいです。

塗り替えはだいたい屋根材の傷み具合にもよりますが3回を限度と考え、それ以上の年数が重なると葺き替えたほうがいいです。
天井に雨漏りがある・・・

天井部での雨漏りの原因は、現場で確認してみないと分かりませんが、考えられる要素の1つとして屋根のメンテナンスのために行った塗替え塗装があります。

強い雨が降ると、屋根材の裏側に雨水が回ってしまうことがあります。屋根材が重ね目が塗料によって塞がっていると、裏側に回った雨水が排出されずに雨漏りの原因になります。セメント系の瓦屋根は、重ね目の隙間が大きいので特に心配することはありませんが、スレート屋根の場合は、隙間が少なく重ね塗りすることで塗料が隙間を防ぐことになってしまいます。

カバー工法

2004年(平成16年以前)の屋根のスレート材にはアスベストが混入されており、剥がした屋根材の廃材の処分が難しい。

その対策として、既存の屋根の上にガルバリウム鋼板を被せる工法が普及されるようになりました。

鋼板の屋根材は、断熱性と遮音性が良くないという欠点があります。

しかし、既存のスレート屋根の上に施工するカバー工法であれば、断熱性と遮音性の欠点を補えるだけでなく、工期も2~4程度で済むというメリットがあります。
おすすめしないケース

屋根のリフォームにかけるご予算と工期にゆとりがあり、長期的な耐久性を求めるのであれば葺き替えをおすすめします。

  • 築35年以上の住宅で、過去に塗装などメンテナンスを一度も行ったことがない。(見える範囲では問題はなくても垂木や野地板だけでなく軒桁などの構造に問題が発生していることがあります。)
  • 築35年以上の住宅で、雨漏りを長い期間、放置してたことがある。

野地板の劣化が進行していることが考えられます。劣化の進行が著しい場合には母屋、軒桁など構造材の取替(補強)が必要になってきます。

屋根の葺き替え

上記でもお伝えしていますが、目安として3回以上塗替えた屋根材は劣化を考え葺き替えたほうがいいです。

葺き替えは、屋根下地(野地板)や母屋・垂木など構造材が傷んでいるかを確認でき、傷んでいれば取替(補強)することで屋根をより長持ちさせることができます。

木造で築4・50年の戸建て住宅の瓦屋根では、土葺きが主な工法です。屋根面全体に土が乗っかっている状態なので重量は非常に重くなり、建物が重くなることによって耐震性が悪くなります。

現在では、野地板の上にルーフィング(防水シート)を敷きその上に瓦を止め付けるため軽量で防水性も非常に優れています。

屋根に求められる性能

屋根に求められる性能は水密性以外にも断熱性や耐震性もあり、そのことについてまとめていきます。

水密性を高める

雨水は一般的に上から屋根の勾配に沿って下へと流れていきます。

しかし、強い雨に強い風圧がかかることによって勾配を逆流し屋根の裏側に雨水が回り込むことがあります。このような自然現象から雨漏りを防ぐためには、屋根下地の水密性を高めるしかありません。

そこで、野地板の上にルーフィング(防水シート)を張り、その上に屋根材(瓦・スレートなど)を乗せて仕上げていきます。

雨漏りの原因の一つとして、このルーフィング(防水シート)の劣化も挙げられます。

屋根材の水密性で言えば金属系の屋根材が優れていますが、窯業系の屋根材でも水密性を高めるために重ね目に減圧空間を設けた瓦があります。

現在、かなり普及しているスレートの平板状の屋根材は、重ね目にホコリなどがたまり毛細管現象によって水を吸い上げることがあります。

断熱性を高める

夏場は太陽熱をできるだけ、建物内に伝達させないようにしたいですよね。断熱性で言えば窯業系の屋根材で、ふところに空気が流れ込みやすい和瓦やスパニッシュ瓦が適しています。

金属系の屋根材では、断熱のために発泡樹脂を裏打ちしますが、発泡樹脂は太陽熱によって薄くなってしまうため、断熱性はそれほど期待できません。

耐震性

屋根材で耐震性を求めるなら、いかに軽量化するかによります。このため、瓦屋根よりも金属系の軽量の屋根材のほうが耐震性は優れていると言えます。とは言っても、耐震基準にのった工法であれば、瓦屋根でも特に問題ないと言えます。

(築4・50年前の土葺きの瓦屋根は、非常に重量が重く耐震性では劣るため葺き替えたほうがいいです)

耐薬品性

屋根材に耐薬品性を求めるのは、意外に思う方が多いでしょう。都市部では、酸性雨。山間部では酸性ミストによる被害があります。

酸性ミストや酸性雨に含まれている硫酸の量は、わずかと言われていますが乾燥することで濃度は高くなり、繰り返し降ることで木が枯れてしまうほどの濃度になります。

他には、海辺では塩分がありますし、温泉地域付近では亜硫酸ガスの影響を受けることになります。

このような状況の中であれば、金属系はあまり適しておらず、窯業系の屋根材が優れています。

対凍結性

水分が凍結してしまうことによって体積は膨張してしまいます。陶器のいぶし瓦などの屋根材は、中に水がしみこむこむことがあり、染み込んだ水分が凍結してしまうと膨張してしまうため屋根材が割れてしまうことがあります。

この点において金属系の屋根材は、心配いりません。

積雪地域の瓦は、陶器瓦であっても施釉されているため、凍結の体積膨張による瓦の割れは心配しなくてもいいです。

(積雪地域意外で、年に数回雪が積もる地域では水が浸透しない屋根材を選びましょう)

まとめ

屋根リフォームの方法は

  1. 塗替え塗装
  2. カバー工法
  3. 葺き替え

の3つがあります。

この3つの中でどの方法で屋根をメンテナンスすればいいのか?屋根の傷み具合を確認するのは大変なことです。目安として年数で考えるといいでしょう。

築10年。あるいは吹き替え後10年であれば、塗り替え。それ以上であれば、屋根工事を専門としている業者さんや工務店さんに診断してもらったほうが安心です。

外壁や屋根・水廻り部の相談は1社だけでなく面倒に思うかもしれませんが複数社に相談することをおすすめします。複数社に相談(見積依頼)することによって知識を得れるだけでなく、しっかりと判断できるようになります。又、相談は遠慮せずに分からないことはどんどん聞いてみることです。