3つのリフォーム工法から窓の断熱対策を考える

日本には季節があり外部の環境に対し、快適な住環境を求めるなら断熱は非常に重要な課題となる。

断熱性能の向上を考えると、

  1. 外壁周りの壁・最上階の天井・最下階の床
  2. 窓などの開口部

の2つが挙げられる。

「1」の断熱性能は非常に向上しています。

壁内部や床下、天井裏に【断熱材】を施すことで断熱性能を高めることができる

「2」の開口部(窓)に関しては、現在流通している高性能断熱サッシは、出て行く熱・入ってくる熱を大幅に改善されています。しかし、築10年以上の木造を含めた戸建て住宅では、高性能断熱サッシが取り付けられていることは非常に稀です。

そのため、夏季に室内に入る熱の7割、冬季に室内から外に出ていく熱の5割は開口部からと言われています。

窓のリフォームに使われるサッシの種類について

サッシは一般的にアルミと木製の2つに分けられます。

木製サッシは、気密性・水密性に劣りますが、断熱性能が高く風合いや高級感といった演出がある。

木製は雨に当たりにくい場所での使用が求められ、手入れが必要。また、雨に濡れても狂いが生じない樹種を選ばなければいけません。

一方、アルミサッシは質感や風合いなどでは木製に劣りますが耐久性が高くメンテナンスの必要性も少ない。コストも抑えることができます。

デザイン的には枠の見つけ寸法が小さくスッキリとした印象を与えるというのが個人的な意見。現在では、サッシの外側がアルミで内側(室内側)が木製や樹脂でできており断熱性や結露防止効果の高い複合サッシもあります。
ここでは、マンションや戸建て住宅で一般的に普及しているアルミサッシに絞って断熱対策に使えるリフォームの工法についてお伝えしていきます。

窓の断熱対策には3つのリフォーム工法がある

3つの工法というのは

  1. 二重サッシ
  2. カバー工法
  3. 既存サッシを撤去し新しいサッシに取り替える

この3つが断熱対策に使えるリフォーム工法。

断熱あるいは防音にフォーカスしたリフォームであれば【1か2】に絞られる。

マンションでもできる窓の断熱対策。二重サッシにリフォームする工法

マンションでは、窓が共用部にあたるためサッシの取り替えはできない。そのため、断熱や防音対策のリフォームでは既存のサッシの内側に新たにサッシを追加する二重サッシ。つまり窓が2つあるということになります。

この二重サッシの断熱性能における特徴は、既存のサッシと新たに設置したサッシの間に生じつ空気層。この中間の空気層があることによって、冬の寒い季節では外部の冷気が室内に伝わりにくくなる。また、冷たい空気と暖かい空気が接触する部分は、暖かい空気中の湿気が露点に達することで結露へと変わります。2重サッシにすることで、この結露防止にも役立つ。サイズさえ合わすことができれば、職人さんでなくてもリフォーム工事ができる工法です。

一般的にサッシはアルミ製が主流です。しかしアルミ製は熱が伝わりやすい。近年では熱が伝わりにくい樹脂製のサッシも販売されておりインナーサッシを樹脂製にすることでより断熱効果を高めることができます。

この工法のメリットは

  • マンションでもできる。
  • 騒音なく取り付けることができる
  • 既存サッシと新しいサッシとの間の空気層によって熱が伝わりにくくなる。
  • 外部からのヒートブリッジを防止するのと共に結露防止の効果もある。
断熱だけでなくサッシを新たに追加することで騒音対策にもなるため一石二鳥のリフォーム工法。(騒音は窓だけでなく換気孔などからも入ってくる注意が必要)

窓の断熱対策にはカバー工法で複層ガラスにするリフォームが多い

カバー工法も既存のサッシを残した上での工法であるためマンションでも可能な工法ではあるが管理規約をしっかりと読んだ上でリフォーム計画を進めてください。

カバー工法というのは、現在取り付けられているサッシの上に新しく新しいサッシを被せる工法のことです。

新しいサッシに取り替えることによって単板ガラスだったのが、強化ガラスや複層ガラス・Low-E複層ガラスへと対応可能となります。

上記でも記載していますがアルミサッシは熱を伝達しやすい。

室内側が樹脂構造となったサッシがあり、熱が伝わりにくくなることで結露低減効果が期待できます。

複層ガラスやLow-E複層ガラスは単板ガラスに比べると断熱性能・日射遮蔽性能共に上がります。

また、遮音性能が高まることから防音効果も期待することができます。

ガラスの性能【断熱性能と日射熱の遮蔽性能について】

単板ガラス

断熱性能
日射熱の遮蔽性能
熱貫流率:1㎡あたり1時間あたりどれくらいの熱が流れるかを示す数字。
(この数字が少ないほど熱を逃がしにくいことを意味している)
複層ガラス

断熱性能
日射熱の遮蔽性能
Low-Eガラス

断熱性能
日射熱の遮蔽性能

既存サッシを新しく入れ替えるリフォーム工法

このリフォーム工法は木造住宅など既存のサッシを取り外すことができる建物に限ります。

既存サッシを取り外すためには、サッシ周りの壁を壊さなくてはいけません。新たにサッシを取り付けた後は、壊した壁を補修し塗装などによって仕上げるため、費用がかかります。

この工法は間取り変更などによって、窓の位置を変更したい時に行うのが一般的です。窓の断熱性能や防音対策のためのリフォームであれば、予算や費用を考えると上記に記載しているカバー工法や二重サッシ工法が適しています。

まとめ

窓に断熱を求めるのは難しいとされていました。しかし、素材の改善や断熱に対する研究から優れた窓が販売されるようになりました。

それにより、熱損失が少なり室内環境が良くなる。熱損失が少ない室内環境ができることでエアコンに頼る負荷を軽減することができ、光熱費の削減にもつながります。

上記では、窓の断熱効果を高める3つのリフォーム工法を紹介しました。

断熱を考えるのであれば「1」か「2」となります。

断熱・防音効果を高めるためには単板ガラスよりも複層ガラスとなります。複層ガラスは2枚の単板ガラスが空気層を挟んだ形状。この空気層の間が広くなることで断熱・防音効果が高くなると考えられています。

つまり断熱・防音効果を求めるなら2重サッシが最も適した方法と言えます。しかし窓が2つあるため使い勝手の面で、困難が生じることになる。
使い勝手がよく断熱・防音効果を高めたいのであれば、2重サッシには劣りますがカバー工法がいいでしょう。