戸建て住宅やマンションのリノベーション(リフォーム)計画を進める時に確認したい電気の容量。
電気の容量とは、同時に使うことができる電流A(アンペア)の総使用電流のことを言います。この数値によって照明や冷蔵庫・TV・パソコンなど家電にどんくらい同時に使うことができるかが決まってきます。
簡単に言うと総使用電流が少ないと、複数の家電を同時に起動させることでブレーカーが落ちてしまいます。
間取りなど暮らしやすい住空間にリノベーション(リフォーム)しても頻繁にブレーカーが落ちてしまっては快適な暮らしを送ることはできません。
そうならいためにも、新しい生活に必要な電気容量が確保できるか工事計画を進める中でチェックしましょう。
【電気容量の確認】リフォーム計画時に調べる
マンションや戸建て住宅のリフォーム計画の中で住宅設備機器の交換を含む工事であれば電気容量について調べておいたほうが良い。
電気容量を確認するためまずは、分電盤を探そう。分電盤の位置は、玄関付近や洗面室内に設置されていることが多い。
総使用電流A(アンペア)を分電盤で確認することができる。
現在の住宅建築の電気容量は一般的に40Aが多いが、1980年以前の建物では30Aが最大となっていることが多くリフォーム後は電気の容量が少ないためブレーカーが頻繁に落ちるということがある。
分電盤の位置は基本的に移動することができない。
住宅やマンションの間取りの変更を含むリノベーション(リフォーム)計画する場合には、このことを踏まえた上でプランニングしましょう。
リフォーム計画に合わせて電気容量を増やすかを検討
上記でもお伝えしていますがリノベーション(リフォーム)で導入する住宅設備機器を把握することです。
電気容量を増やすかの目安となるのがオール電化やIH調理機器の導入です。電気を扱う設備機器の導入を希望する場合、現在の電気容量では少ないことが考えられます。
この場合、電気容量の契約変更によって容量を大きくする必要があります。
また、2世帯住宅や家族が増えるといった場合も電気を多く使うことになるため容量を増やすか考えたほうが良いでしょう。
自宅でお仕事をされる方とリフォーム計画について打ち合わせをした時、特に気を付けないといけないなと思ったのは、パソコン使用時にブレーカーが落ちること。
仕事中にコーヒーメーカーやIH調理器具を使うことがあると思います。その時に、ブレーカーが落ちる。
保存されないまま、ブレーカーが落ちた場合、改めて作業し直さないといけないことになりますし、強制終了によってPC事態にダメージが与えられることも考えられます。
そのため、ご自宅で仕事を考えている場合には、電気容量の確保や回路計画をしっかりとする必要があります。
回路(配線計画)
スケルトンリフォームのように、現在の間取りを全て撤去して一からプランを計画していく場合はもちろんのことですが、部分リフォームであっても使用するものや場所によっては、配線計画を考える必要があるります。
IH調理機器など200V機器だけでなく、エアコンや照明器具のような100V機器も専用回路としておいたほうが良いでしょう。
(家電機器によっては、三相200Vの引き込みが必要になることもあります。)
普段の暮らしの中でブレーカーが落ちたことがよくある場合、どの家電製品を使っている時に落ちるかご家族で話し合ってみてください。
それによってリフォームに合せてブレーカーが落ちない配線計画や総使用量Aの確保の目安が把握しやすくなります。
各家電製品の電気容量を確認。リフォームに合せて増やすか考える
家電製品の電流(A:アンペア)の目安
インバータエアコンの電気容量 | 冷房・・平均6A(立上り時14A) 暖房・・平均6.6A(立上り時20A) |
電気カーペットの電気容量 | 全面・・8A 1/2(面積)・・4A |
テレビの電気容量 | 液晶42型・・2.1A プラズマ42型・・5A |
掃除機の電気容量 | 弱・・2A 強・・10A |
アイロンの電気容量 | 14A |
ヘヤードライヤーの電気容量 | 12A |
冷蔵庫の電気容量 (450Lクラス) |
2.5A |
電子レンジの電気容量 (30Lクラス) |
15A |
IHジャー炊飯器の電気容量 (炊飯時(5.5合)) |
13A |
IHクッキングヒーターの電気容量 | 20~30A【200V】 |
食器洗い乾燥機の電気容量 (100V卓上タイプ) |
13A |
ドラム式洗濯乾燥機の電気容量 | 洗濯時・・2A 乾燥時・・13A |
電気容量の計算【リフォーム計画で容量を増やすか確認】
計算といってもすごく簡単です。
まずは電気の計算に関係ある記号を知りましょう。
- (A)アンペア:電流・・電気の流れの大きさ
(V)ボルト:電圧・・A(電流)を流す力の大きさ(一般家庭のコンセントは100V 家電製品によっては200Vもある)
(W)ワット:電力・・電気の仕事の大きさ(家電製品に記載ある消費電力とはこのこと)
一般家庭でどれだけの電気を流すかはA(アンペア:電流)で表します。
一つの回路にコンセントが枝分かれし4つあるいは5つ付いている。
一つの回路で、最大使えるA(アンペア:電流)は20Aが一般的です。(ブレーカー)
20Ax100V(一般家庭の電圧)=2000W
つまりマックスで2000Wの消費電力の家電製品が使えることになる。
- Aのコンセントには炊飯器(1200W)
- Bのコンセントには電子レンジ(1000W)
- Cのコンセントにはミキサー(200W)
一つの回路ではマックス2000Wまでが使えるということを上記で記載しました。
ABCの3つのコンセントの中で同時に使えるのは?
「AとC」あるいは「BとC」ということになりますよね。
「AとB」または「A・B・C全部」であれば2000Wをオーバーしてしまいブレーカーが落ちることになります。
ブレーカーの遮断を防ぐために
一般的に、マンションや戸建て住宅では40A(アンペア)か60A(アンペア)が多いです。
リノベーション(リフォーム)時に40Aから60Aに電気容量の変更をするケースに共通するのは、IHクッキングヒーターの導入です。
電気容量を計算する時には、電気をよく使う冬場の調理時をマックスとして考えて計算すると良いです。
上記の表を参考に、電気容量を足して電流Aを計算してみます。
エアコン6.6A+照明2A+テレビ2A+冷蔵庫2.5A+炊飯器(炊飯時)13A=26.1A
総使用電流が40Aの場合、26.1<40AとなるためOK。
ところがIHクッキンヒーターを導入する場合、上記の計算式に【IHクッキングヒーター30A】が追加されることになります。
つまり26.1A+30A=56.1Aとなります。総使用電流が40Aの場合、56.1>40Aとなるため、IH使用と共にブレーカーが落ちることになります。
IHクッキングヒーターがいかに電気を食うかが理解できるかと思います。
もしIHを導入するのであれば60Aの確保を目安にリフォーム計画を進めるといいでしょう。
総使用電流が少ないだけではありません。タイミングも原因の一つです。
例えば、上記の計算を例にすると、エアコン+照明+テレビ+冷蔵庫+炊飯器(炊飯時)=26.1A
この時に電子レンジを使った場合、26.1A+15A(電子レンジ)=41.1Aとなりブレーカーは落ちることになります。しかし、炊飯機が保温状態の時に電子レンジを使ってもブレーカーは落ちることはありません。
このように、ブレーカーが落ちるのはタイミングも原因の一つです。
電気の契約電流A(アンペア)を変えれば基本料金は変わります。(契約電流Aが大きくなることで基本料金も変わってきます。)
例えば総使用電流A(アンペア)が40Aで十分であるのに60Aで契約してしまうと損をしてしまうことになります。
電気容量の契約変更【リフォームでオール電化にするなら主開閉器へ】
電気容量の契約では、「アンペアブレーカー契約」と「主開閉器契約」の2つがある。
住宅やマンションではアンペアブレーカー契約が一般的。引き込み幹線の太さにもよりますが、最大で40A~60Aまで契約変更が可能。
しかし、オール電化など多くの電気(60A以上)を使う場合は、主開閉器契約へと変更しなければいけません。でないとブレーカーが落ちてしまうことになります。
「アンペアブレーカー契約」か「主開閉器契約」にするか?の目安は、オール電化が一つの目安となります。
また、2世帯にするなどご家族が増える場合、電気を使う容量が増えることになります。(オール電化ではなくても、IHクッキングヒーターキッチンを導入することで使用電流は一気に上がることになります。)
リノベーション(リフォーム)時に電気の容量の変更を考えている方は以下の内容を参考にしてください。