自分で計画してみて初めて分かることって多いですよね。設計し図面に落とし込んでいく側としては、TOTOやLXILなどメーカーが出しているキッチンの場合、既にできているため寸法などは、あまり考えることはない。

しかし、クライアント様がオーダーメイドを求めた場合には、最終的にオーダーメイドキッチンを製作している会社に依頼しますが、クライアント様の要望を聞き素材はもちろんのこと寸法など自分で考えなくてはいけない。
キッチンなどオーダーメイドで製作している会社の社長さんや担当者の方と過去に打ち合わせした内容の中で非常に勉強になったことがあります。

プランニングといっても空間を構成することがメインのプランニングとキッチンとでは大きく違うというのを色々なキッチン制作会社の社長さんや担当者の方と打ち合わせを重ねることで気づかされ、同時に刺激を受けました。

特にキッチンは機能性が伴っていなければいけません。キッチンという小さい空間の中で、いかに作業効率を上げるようまとめるか。この視点が非常に勉強になりました。

ここではオーダーメイドキッチンを制作している社長さんや担当者の方と打ち合わせをした中で、キッチンリフォームを計画している方に最低限、知ってほしいことをまとめています。

キッチンリフォームで考えたい動線計画を踏まえたレイアウト

キッチンは、複数の作業を同時にこなさなければいけない場であるため作業の効率性を少しでも高めたい。そう考える主婦の方は多いと思います。

作業効率を考えたキッチンのプランニングで外せないのが「人間工学」。
もともとは工場での生産効率を高めるために1950年頃にこの人間工学的観点からワークトライアングル(作業の三角形)というルールができたそうです。そして、このルールがキッチンにも応用されている。
三角形のポイントとなるのが、冷蔵庫・コンロ・シンクの3つで、この3つのポイントを結ぶことによって三角形を作ります。(I型キッチンの場合は一直線になります)

作業効率を高めるために重要になってくるのが、上記で記載した3つのポイントとなるシンク・コンロ・冷蔵庫の位置関係。

人間工学的観点から生み出されたワークトライアングル(作業の三角形)では、各ポイントの間の距離が作業効率に大きく関わってくるとされています。と書くと難しく聞こえますが、非常に簡単なので安心してください。

まず結論からお伝えします。

足し算をして3.6~6以内の数字に納めること。

では何を足していくのか?
冷蔵庫(ストック、準備)・シンク(準備、調理)・コンロ(調理)の3つの距離です。

  1. 冷蔵庫からシンクまでの距離は?
  2. シンクからコンロまでは?
  3. 冷蔵庫からコンロまでは?

この1~3の距離を足して6m以内に納めるのが理想です。
また、冷蔵庫・シンク・コンロそれぞれ作業ゾーンがあり90cm以上の距離を確保したい。

それと、コンロは換気扇の関係から外壁付近に設けられることが多い。自分のひじや鍋を壁にぶつけないように、コンロから壁は40cmのスペースがほしい。

ワークトライアングルを取り入れたキッチンリフォームの動線計画

キッチンの広さや形によってワークトライアングルの寸法は異なってきますが、基本的なことをまずは押さえておこう。
キッチンの広さや形によってワークトライアングルの寸法は異なってきますが、基本的なことをまずは押さえておこう。

  • 食品の出し入れがスムーズに行えるように、シンクの近くに冷蔵庫を置く(冷蔵庫から食材を取り出した後、シンクでその食材を洗うことが多いため)
  • コンロは排気のため外壁付近に設けることを前提にワークトライアングルを考える。(アイランドタイプやキッチンの配置によっては当てはまらないことがある)
  • 人がドアの横や正面に立って出し入れできるように、機器のドアを開くためのスペースを確保すること。

この3つは、どのキッチンスタイルや広さの違いでも当てはめるべき基本的なルールです。
では、次にキッチンのスタイルに応じてワークトライアングルを念頭におき効率的で実用性の高いキッチンを作り出すために取り入れたいことをまとめていきます。

I型キッチンのレイアウトで失敗しないために


I型は一直線上の動線となります。

I型キッチンのレイアウトで気を付けたいのが収納です。

キッチンの並び(一直線上)に収納がある場合、お皿を出す時に大変です。

また、コンロや調理スペースの近くにあってほしい炊飯器や電子レンジなどが遠くに離れていると作業効率が悪いキッチンになってしまうので間取りと一緒に収納計画をすることです。

考え方としてI型キッチンは、キッチンの並びに食器棚や炊飯器や電子レンジを置く棚などをずらりと並べてしまうと横に長くなってしまうため、I型キッチンと冷蔵庫を含めて3m~3m60cmまでにする。他の食器棚や電子レンジ、炊飯器などを置く棚がある場合には側面の壁か、対面にちょっとしたカウンタータイプの棚を設けワークトライアングルを意識した対策を取る。

I型タイプの場合、ワークトップはコンロとシンクとの間を長く空けることで作業効率があがると言われています。