空間を構成する上で雰囲気を変えるためには、間仕切り壁によって仕切る。
ただ、間仕切り壁によって仕切ることで空間が狭くなってしまい、圧迫感を受けることもあります。
スキップフロアは、「小上がり」や「ステップフロア」とも呼ばれており、特徴は、段差を設けることにあるのですが、この段差によって間仕切り壁を設けずに空間の雰囲気を変えることができること。
段差を設けるってそんなメリットがあるんだ!
そうですね。ただ、注意が必要なのは、お年寄りの方が同居されるご家庭です。
スキップフロアは、段差を設けて空間を仕切るのが特徴です。
お年寄りの方が住みやすい環境は、その逆。つまりバリアフリー化(床の段差がない)が求められます。
空間を段差で仕切ることによって、色々と生活空間にアレンジし暮らしを楽しむことができるけど、ご家族の事をよく考えた上で間取りを計画しないといけないんだね。スキップフロアを取り入れる時は、設計者とよく打合せをしよう!
リフォーム計画を上手く進める7つの打合せポイント
では、設計者との打合せポイントについてまとめているので役立ててください。
住宅やマンションに取り入れるスキップフロアについて
リフォーム(リノベーション)によってスキップフロアを取り入れる。そのために欠かせない条件があります。何か分かりますか?
スキップフロアにするための条件?・・・わからんです。
条件というのは、天井高です。
なるほど!床を高くするためには、天井までの高さが高くなければできない。
その通りです。
天井高に余裕がないのに無理に床に段差を作ってしまうと、心理的に窮屈な空間になってしまいます。そのため天井高は「2m20cm」を限界と考えてプランしましょう。
全体的なスキップフロア
全体的なスキップフロアは戸建て住宅で使われるタイプです。
全体的なスキップフロアを採用することで、1階・2階というように明確な階を設けず、繋がりをもたせ連続した空間を構成していくため「奥行」と共に「上」へと広がりをもたせることができます。
図面では、一階にリビング。3段上ってキッチンとダイニング。
ダイニングとリビングとの間は吹き抜けになっているため奥行の広がりと共に、上への広がりをもたすことができます。1階部分を家族が過ごす空間とし、中2階から上はプライベートというプラン。
下の写真は、全体的なスキップフロアで安藤忠雄さんが設計。ダイナミックな空間構成と打ち放しの取り入れかたが絶妙だ。
1フロアのみのタイプ
1フロアのみのタイプは、戸建て住宅だけでなくマンションでも可能です。リフォームでは、ほとんどがこの1フロアのみのタイプです。
LDKなど1フロアに段差を設けることで視界が変わり、さらに壁や床の仕上げを変えることで、独立感を持たせながら雰囲気を変えることができるなど遊び心ある空間を作ることができます。
ココでは1フロアのみのタイプを中心に話を進めています。
リノベーション(リフォーム)をすることでLDKをスキップフロアにしようと検討している方は間取り計画やメリット・デメリットなどについて詳しくまとめているので参考にしてください。
LDKをスキップフロアにする2つの間取り計画
LDKの床レベルの高さを変えるとなると間取りと共に、どこで段差を設けるかを考えなくてはいけません。
考えられるのは
- リビングを高くし、キッチンとダイニングを低くする
- キッチンとダイニングを高くし、リビングを低くする
この2つの間取り計画に絞られます。
キッチン・リビング・ダイニングそれぞれの床レベルを変えることもできますが、天井高に余裕がある場合に限ります。
では、2つの間取り計画のメリット・デメリットについてまとめていきます。
リビングの床を高くしキッチン・ダイニングを低くするメリット・デメリット
リビングを高くした場合、何cmの段差を設けるかにもよりますが、2~3段の段差であれば、リビングでソファに座った時の目線とダイニングで椅子に座った時の目線が、それほど違わなくなります。
メリットは、椅子(ソファ)に座った時、目線を合わせて会話することができる。
このことを考慮し、リビングのソファとダイニングテーブルの配置を組み合わせることで、楽しめる空間を創り出すことができます。またインテリアの面では、DKとリビングの境界におしゃれな手摺を取り付けたり、飾り棚を設けることでデザイン性の高い空間ができます。
ダイニング・キッチンの床を高くしリビングを低くするメリット・デメリット
メリットは、リビングを低くすることで、ダイニング・特にキッチンのあまり見せたくない部分を隠すことができます。
また、リビングはDKよりも下がっていることから、ソファに座ることで目線がさらに下がりリビングが独立した印象に感じます。
LDKをスキップフロアにするリフォーム費用は?
スキップフロアにするリフォーム費用は、床を上げる場合と下げる場合とで異なります。
- 床を上げる
㎡単価・・・12,000円(材料費・工事費含む) - 床を下げる
㎡単価・・・17,000円(材料費・工事費含む)
(マンションは、できません。戸建て住宅は、基礎の状態によって工事できるか、できないかが変わります。)
上記の㎡単価は、高さ1段分を上げる(下げる)場合の単価です。
キッチン部の床を上げる(下げる)場合には給排水管・電気などのカットもしくは増設が必要になります。少しの距離であれば材料・工事費込みで上記の費用に20,000円~30,000円が加算される。
キッチンの設備機器の取り換え+内装一新のリフォーム費用
・対面式
I型から対面式キッチンにするリフォーム費用
・アイランドキッチン
I型からアイランドキッチンにするリフォーム費用
・LDKを広げる
和室をなくしLDKを広くするリフォーム費用
スキップフロアにして後悔する理由
スキップフロアにして後悔する一番の原因は、
【狭く動きにくい上に段差があるため生活しにくくなった】という理由から。
他にも「デザイン」や「天井が目の前にある」「段差が大きすぎて上り下りしにくい」といった理由がありますが、一番は、スペース確保にあります。図面上では、うまく収まっているように見えても実際に生活すると動きにくいと気づくことがあります。そうならないために、最も気をつけないといけないのが家具を設置した後のスペース確保。
【人が通れるだけの有効寸法が確保できるか?】この確認は必需です。
詳しくは
LDをリフォームする人必見!間取りの有効寸法は大丈夫?
は後悔しないために要チェック!
面積的なことで言えば、キッチンスタイルの変更も注意が必要です。
I型から対面式キッチンにリフォームすることでダイニングやリビングの面積が少なくなります。このことが原因で生活しにくくなってしまいます。
I型から対面式キッチンにリフォーム。後悔しないための3つの対策
スキップフロアのある理想のプランをプロに聞いてみよう!
スキップフロアのあるLDKプランを考える。この時に大きな課題となるのが間取りと天井高
現在お住まいのマンションもしくは住宅の天井高を測ってみてください。恐らく2400mm(2m40cm)程度だと思います。
段差を設ける高さは15cm~30cmが一般的。
現在の天井高を仮に2400mm(2m40cm)とし30cmの段差を設けるとした場合、2m40cm-30cm=2m10cmとなり、これが限界です。
これ以上、天井高を小さくしてしまうと、こんどは圧迫感を感じるようになってしまいます。
一人で考えても答えは出てきません。一人で考えずスキップフロアを取り入れた実績ある設計事務所やリフォーム会社に相談してみてください。
あなたの要望に合わせたリフォームプランを考えてくれます。
面白いことに、畳など床仕上げると小さい段差であっても雰囲気を変えることができます。そう考えると和室を取り入れるというのも一つの方法ですね!障子なども組み合わせることで和風モダンなLDKも狙えます。
DIYによってスッキプフロアのあるLDKをつくる
DIYによってスキップフロアにする方法は3つあります。
- 床束を使う
- 床組によって床を高くする
- ユニット畳で床を上げる
床束を使ってスキップフロアにするDIY
床束を使うメリット
- 設置するだけで床を上げることができる。
- 好みの高さに合わせて床の高さを調節することができる
楽天などで【床束】と検索すると出てきます。
床束を使い床を上げる時の注意点
-
- 現状の床に段差がなくフラットであること。
(床がコンクリートなど凸凹の状態であれば、設置は難しい。凸凹でも設置可能ですが、床束の高さを全て揃えるのはプロでないと難しい。)
- 全ての床束の高さを揃える。
- 設置する場所はランダムではなく寸法を測って「縦・横」明確な位置を割り出す。
収納や掘りごたつなど機能性を持たすとなると手間がかかり大変ですが、床を上げるだけなら床束を使うことで、けっこう簡単にできる。
床組によってスキップフロアにするDIY
床組のメリットは、掘りごたつや、床下収納(引き出し)などが設置しやすく、床を高くしながら機能性を高められる。
デメリットは、木材をカットして組み合わせながら床を高くするため、けっこう重労働。さらに機能性を持たせるとなると手間がかかる。
ユニット畳による小上がり
【ユニット畳】と検索すると通販サイトの一覧が出てきます。
部材を組み立てるだけで完成。手間が省ける上に綺麗に仕上げることができます。
LDKに畳がほしい!っていう方にはおすすめ。
【飛騨フォレスト株式会社】では、オーダーメイドでユニット畳を製作しています。
詳しくは、この動画をご覧ください。
チェリー材を使ったユニット畳⇒
スキップフロアと共にDIYで新しく壁を造る計画がある方は参考にご覧ください。
DIYリフォームで間仕切壁を作る4つの工程を動画で見る⇒
まとめ
スキップフロアにすることによって、空間に広がりを持たせることができるだけでなく、中2階のみ内装を他と違いを設けたり、色の組み合わせや飾棚を設けることによってインテリアの質を高めることもできます。
現状の床や天井を解体しダイナミックにスキップフロアを取り入れることも可能です。
現状の床を解体するのが難しい建物の構造 ・木造(2x4) 壁・床の面構造であるため、壁や床を壊せない。 ・RC造 スラブ(コンクリートの床)を壊せない ・鉄骨造 デッキプレート+コンクリートの床スラブは壊せない 鉄骨造でも、可能な場合があるため施工会社に相談してみてください。
木造(在来)は、スキップフロアを考る上で適した構造でありますが、現状の床を解体し大きな吹き抜けを設けるなどの場合には構造強度を合わせて考えていく必要があります。 |