中古住宅を購入するかもしれないんだけど、築年数によってどの部分を重点的にリフォームしたほうがいいか違ってくるのかな?
詳しくは、建物を見ないと何とも言えませんが、目安として築年数別にリフォームしたほうがいい所は違ってきます。
このページでは
・築40年以上の家(1980年以前)
・築40年~22年の家
・築22年(2000年)未満
の3段階に分けてリフォームしたほうがいい場所をお伝えしていきます。
築年数40年以上(1980年以前)の木造住宅は耐震性・防湿性・断熱性をリフォームで改善
1980年以前の木造戸建て住宅は屋根瓦が多く外壁はモルタルリシンであったり板張りが主流。無筋コンクリートの布基礎の上に柱・梁などの構造材は未乾燥材であるスギやヒノキが使われていることがほとんど。
接合部はぬきやさしなどで金物があまり見られません。
また、この年代に建築された木造住宅には断熱材が施工されていることがほとんどない。
1981年6月以降に確認申請を取得した木造住宅や2000年以降の新耐震基準改正後の建物から比べると、耐震性・防湿性・断熱性は劣ります。
リフォーム計画を進めるならば優先順位として構造など耐震性、屋根・外壁の防水性や断熱性から改善していくことを第一優先とする。
リフォーム費用は1000万円を超えることもあるため、建て替えと比較して検討する方が多いです。
逆に建物に思い入れがある方はリフォーム費用が高額となっても再生という道を選んでいます。
部分別リフォームポイント【築年数30年以上(1980年以前)の木造住宅】
1:屋根
瓦屋根が多い。瓦の割れた部分から雨水が浸透していることがある。
屋根が重いと耐震性は良くない。内装に雨漏れが目視で確認できるなら、構造材に影響が及ぶため早めの時期にリフォームが必要。
2:屋根裏断熱
小屋裏には断熱材はなく、換気計画はなされていない。
屋根裏に断熱材はなく換気計画がなされていないと夏場は高温で木の耐久性に必要な水分がなくなってしまう。そして冬場は、室内の暖房による熱が屋根裏へと伝わり、外気の冷気との差によって野地板やタルキなど屋根下地が結露を起こす。結果、腐るなどの傷みが出てくる。
3:構造材(柱・梁)
柱や梁など構造材はスギやヒノキが使われ未乾燥材が大半を占めている。
屋根や外壁から雨水が浸透し柱などの構造材が傷んでいることがある。1980年以前の建物は耐震性に劣るため早めの時期にリフォームが必要。
4:外壁
仕上げはモルタルの上からリシン仕上げや、板張りが多い。値段は安く通気性があり、美観にも優れているリシンですが耐久性は高くない。
耐用年数は8~10年程度。
モルタルの収縮に対応できないという欠点もある。
目視で外壁に幅3mm以上のクラック(亀裂)が確認できる状態であれは、業者さんに見てもらい雨水が浸透している恐れがある場合は早めの時期にリフォームが必要。
窓は木製建具に単板ガラスの組み合わせ。
5:外壁周りの断熱
外壁周りの断熱は施工されていない。
断熱が不十分であれば、冬は暖房をつけてもすぐに冷えてしまい、夏は冷房をつけてもすぐに熱くなる。また結露の発生を促すことになり構造材の傷みに繋がる。
6:浴室(トイレ・洗面)
浴室は在来工法。トイレは段差のある和式便器。
洗面室や浴室、トイレは換気が不十分で、解体すると湿気などによって柱・大引・土台など構造材が傷んでいることが多い。
【リフォーム見積費用】在来工法の浴室をユニットバスに変える
【リフォーム見積費用】トイレの便器交換と手洗いも付けた内装工事
7:キッチン
キッチンを解体すると浴室と同じく湿気などによって柱や土台など構造材が傷んでいることが多い。
間取り変更によってLDKを一つにまとめるのと共に古いI型キッチンを対面式に変えるケースが多い。マンションとは異なり給排水管の移設や増設に自由があるためキッチンや浴室など水回りの移動は可能。
8:床面の断熱
1階床には断熱材は施工されていない。
床面の断熱性が低いと土台や根太など床材を支える部材が傷みやすくなります。
9:基礎
基礎は無筋コンクリート造の布基礎。鉄筋コンクリート布基礎に比べて耐震性は低い。
床下は、土のままでコンクリート束石の上に束立てという組み合わせ。
10:床の段差
11:階段
築年数30年以上(1980年以前)の木造住宅のリフォームポイント 1980年以前に建てられた建物をリフォームするなら外回り(屋根・外壁)と、構造(柱・梁など)の強化、防湿性能・断熱性能のアップが先決です。 |
地震対策に向けての耐震リフォームや、バリアフリーリフォームをすることによってリフォーム費用が安くなることがあります。
詳しくは
リフォーム費用を安くする方法【予算超えの対策と注意点】
築年数40年~22年の木造住宅はリフォームによって耐震性や防湿対策
築年数40年~22年(1981年~2000年以前)の木造住宅の特徴は
- 鉄筋コンクリートの布基礎
- 含水率15%未満の人工乾燥材を使用している
- 接合部には金物の使用が見られるようになった
1981年(昭和56年)の建築基準法改正では、新耐震基準が施工されました。この改正によって建物の構造性能が見直されることになる。 木造住宅では、体力壁の量や体力壁の倍率が見直され耐震性を大きく向上する建物となる。 新耐震基準の内容:数十年に一度程度発生する震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じず、数百年に一度程度発生する震度6強~7程度の地震に対しては倒壊・崩壊しない程度 |
床下の断熱は過去のリフォーム案件をもとに考えると全体の5割程度まで普及しています。しかし防湿対策している建物は少ない。
部分別リフォームポイント【築年数18年~30年の木造住宅】
1:屋根
化粧石綿スレート葺き。ご存知かと思いますが石綿はアスベストです。
健康に害があることで2004年頃にはほぼ禁止されています。現在から約20年以上前に立てた住宅でスレートにしている屋根は、アスベスト入りの可能性が高いです。
石綿スレート葺きの屋根をリフォームする方法は2つあります。
- 撤去し新しい屋根材に葺きかえる
- カバー工法
どちらが良いかは、住んでいる住宅を今後、どのように考えているかによります。
2:小屋裏断熱
小屋裏換気口がない住宅が多い。換気計画はなされていない。
3:構造材(柱・梁)
柱・梁などの構造材は90年代から人工乾燥材が使われるようになってきました。
4:外壁
窯業系サイディングが多い。本体に欠けや欠損などがないか目視で点検。シーリング部分は築年数が長くなることで劣化し亀裂・剥離が起こりその部分から雨水や湿気が侵入する。
大きな地震がない限り本体に亀裂が走ったり板のズレは起こらないがシーリングと合わせて点検する。亀裂などがあれば早めの時期にリフォームしたほうが良い。水切りが施工されていない家もある。
5:外壁周りの断熱
6:浴室(トイレ・洗面)
水回りの換気が不十分な住宅が多い。
7:キッチン
I型キッチンが主流。LDKの間取りと合わせて対面式キッチンに変更するケースが多い。
浴室やトイレなど水回り部は湿気などによって、構造材が傷んでいることが多い。構造材が傷んでいると傷んでいる部分を補修する手間が増える。つまり追加工事が発生することになる。
8:床面の断熱
床面の断熱材は全体の5割程度。
9:基礎
10:床の段差
11:階段
築年数18年~30年の木造住宅のリフォームポイント 1981年(昭和56年)の建築基準法改正では、新耐震基準が施工されました。 |
一番怖いのは、雨漏れによる構造材(柱・梁)の劣化なので、専門家をよび外壁や屋根の検査を優先的に行うのが良いでしょう。
外壁(屋根)塗装・カバー工法については、以下のページで詳しくまとめています。
築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅は間取り変更やインテリア中心にリフォーム計画を考える
2000年以降の建物は耐圧盤を兼ねたベタ基礎が増え、構造材には人工乾燥材や集成材が使われており、金物を使った接合により耐震性に優れた構造となっています。
1981年に引続き、2000年(平成12年)には新耐震基準の改正によって木造住宅の構造性能をより向上させるための見直しがありました。
新耐震基準改正の内容 ◆基礎の形状
事前の地盤調査が義務付けられ、地盤調査の結果をもとに地耐力に合わせた基礎の形状が明記された ◆柱頭・柱脚・筋交いの接合方法 この現象を防止するため、金具の種類が明記されるようになった。
◆体力壁をバランスよく配置する この結果を踏まえて体力壁の量と共にバランスよく配置することが義務付けられました。
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部分別リフォームポイント【築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅】
1:屋根
一般的にスレート屋根が多いが、瓦屋根も人気。スレート屋根は、軽量で安いですがメンテナンスが必要。塗装によって耐久性が保たれているので定期的なメンテが必要。10年を目安とし時期が近づくと早めに塗装することです。
2:小屋裏断熱
24時間換気設備が導入されることで夏は蒸し暑く、冬は結露という従来の問題を解消。
3:構造材(柱・梁)
柱や梁といった構造材には人工乾燥材が使われ、集成材も見られるようになった。
4:外壁
窯業系サイディング・木質系サイディング・金属系サイディングなど色々な種類のサイディングが普及している。メンテナンスは10~20年を目安に。
5:外壁周りの断熱
断熱材ほぼ100%入っている。
6:浴室(トイレ・洗面)
7:キッチン
キッチンの面積にもよるが戸建て住宅の多くが対面式キッチンとなっている。
キッチンスタイルだけでなく機能性も高くなっている。
8:床面の断熱
9:基礎
10:床の段差
1981年以前に建てられた木造住宅のように形式的な段差はなくなり、クライアント様の要望に応じて段差が設けられていることが多い。
11:階段
12:内装材
内装材にはF☆☆☆☆取得品が使われるようのなった
築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅のリフォームポイント 耐震性は確保されているため、外回り(外壁・屋根)の確認を第一優先とし、間取り変更ヤインテリア中心に改善していきましょう。 |
まとめ
築年数によるリフォーム項目の目安を上記にまとめました。リノベーション(リフォーム)計画を進めるにあたって優先順位は、非常に需要になってきます。
築年数からリフォーム項目を考えるにあたって建築基準法改正が大きな基準となります。法改正によって木造戸建て住宅は、構造性能の観点からみると2回の大きな転換期があります。
- 1981年の法改正
- 2000年の新耐震基準の改正
2000年の新耐震基準改正前の建物は、構造(耐震性能)の改善を優先してプランや予算の計画を進めていく。
2000年以前の建物にお住まいの方は、間取りの変更やキッチンなど設備機器の取り替えなどといった要望があるかもしれません。