リフォームやリノベーション計画をすすめるにあたってどの工事を優先して行うべきか。優先順位を持つことは非常に重要です。

各ご家庭で、それぞれ要望があるかと思いますが、ここではその要望は一旦置いておいて、築年数にフォーカスした場合、どのリフォーム工事を優先すべきなのかをこれから見ていくことにしましょう。

築年数30年以上(1980年以前)の木造住宅は耐震性・防湿性・断熱性をリフォームで改善

1980年以前の木造戸建て住宅は屋根瓦が多く外壁はモルタルリシンであったり板張りが主流。無筋コンクリートの布基礎の上に柱・梁などの構造材は未乾燥材であるスギやヒノキが使われていることがほとんど。

接合部はぬきやさしなどで金物があまり見られない。また、この年代に建築された木造住宅には断熱材が施工されていることがほとんどない。

1981年6月以降に確認申請を取得した木造住宅や2000年以降の新耐震基準改正後の建物から比べると、耐震性・防湿性・断熱性は劣ります。

リフォーム計画を進めるならば優先順位として構造など耐震性、屋根・外壁の防水性や断熱性から改善していくことを第一優先とする。
リフォーム費用は1000万円を超えることもあるため、建て替えと比較して検討する方が多いです。

逆に建物に思い入れがある方はリフォーム費用が高額となっても再生という道を選ぶことが多い。

再生方法は色々ある中で古民家住宅の再生のように、建物を補強しつつダイナミックな梁(構造材)をインテリアとして見せ、魅力的な建物へとリフォーム(リノベーション)する方法もある。

部分別リフォームポイント【築年数30年以上(1980年以前)の木造住宅】

【1:屋根】
瓦屋根が多い。瓦の割れた部分から雨水が浸透していることがある。

屋根が重いと耐震性は良くない。内装に雨漏れが目視で確認できるなら、構造材に影響が及ぶため早めの時期にリフォームが必要。

【2:小屋裏断熱】

小屋裏には断熱材はなく、換気計画はなされていない。

【3:構造材(柱・梁)】
柱や梁など構造材はスギやヒノキが使われ未乾燥材が大半を占めている。

屋根や外壁から雨水が浸透し柱などの構造材が傷んでいることがある。1980年以前の建物は耐震性に劣るため早めの時期にリフォームが必要。

【4:外壁】
仕上げはモルタルの上からリシン仕上げや、板張りが多い。値段は安く通気性があり、美観にも優れているリシンですが耐久性は高くない。

耐用年数は8~10年程度。モルタルの収縮に対応できないという欠点もある。

目視で外壁に幅3mm以上のクラック(亀裂)が確認できる状態であれは、業者さんに見てもらい雨水が浸透している恐れがある場合は早めの時期にリフォームが必要。

窓は木製建具に単板ガラスの組み合わせ。

【5:外壁周りの断熱】
外壁周りの断熱は施工されていない。

断熱が不十分であれば、冬は暖房をつけてもすぐに冷えてしまい、夏は冷房をつけてもすぐに熱くなる。

【6:浴室(トイレ・洗面)】
浴室は在来工法が一般的でトイレは段差のある和式便器がほとんど。

洗面室や浴室、トイレは換気が不十分で、解体すると湿気などによって柱・大引・土台など構造材が傷んでいることが多い。

【7:キッチン】
キッチンを解体すると浴室と同じく湿気などによって柱や土台など構造材が傷んでいることが多い。

間取り変更によってLDKを一つにまとめるのと共に古いI型キッチンを対面式に変えるケースが多い。マンションとは異なり給排水管の移設や増設に自由があるためキッチンや浴室など水回りの移動は可能。

【8:床面の断熱】

1階床には断熱材は施工されていない

【9:基礎】
基礎は無筋コンクリート造の布基礎

床下は、土のままでコンクリート束石の上に束立てという組み合わせ。

【10:床の段差】

1981年以前に建てられた建物の多くが形式的に段差が設けられている。

【11:階段】

階段は急勾配で上り下りが危ない
築年数30年以上(1980年以前)の木造住宅のリフォームポイント
1980年以前に建てられた建物をリフォームするなら外回り(屋根・外壁)と、構造(柱・梁など)の強化、防湿性能・断熱性能のアップを中心に取り掛かりましょう。

築年数18年~30年の木造住宅はリフォームによって耐震性や防湿対策

築年数18年~30年(1981年~2000年以前)の木造住宅の特徴は

  • 鉄筋コンクリートの布基礎
  • 含水率15%未満の人工乾燥材を使用している
  • 接合部には金物の使用が見られるようになった
1981年(昭和56年)の建築基準法改正では、新耐震基準が施工されました。この改正によって建物の構造性能が見直されることになる。

木造住宅では、体力壁の量や体力壁の倍率が見直され耐震性を大きく向上する建物となる。

新耐震基準の内容:数十年に一度程度発生する震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じず、数百年に一度程度発生する震度6強~7程度の地震に対しては倒壊・崩壊しない程度

1986年6月以降に建てられた木造住宅は新耐震基準に沿って建てられた建物ではありますが、2000年以降に着工した建物に比べると耐震性に劣るため、専門家を呼び耐震診断を行うことをおすすめします。

床下の断熱は過去のリフォーム案件をもとに考えると全体の5割程度まで普及しています。しかし防湿対策している建物は少ない。

屋根は化粧石綿スレート葺きで、外壁は窯業(ようぎょう)系サイディングが多い。

部分別リフォームポイント【築年数18年~30年の木造住宅】

【1:屋根】
化粧石綿スレート葺き。ご存知かと思いますが石綿はアスベストです。健康に害があることで2004年頃にはほぼ禁止されています。現在から約16年以上前に立てた住宅でスレートにしている屋根は、アスベスト入りの可能性が高いです。

葺かれているだけの石綿スレート屋根は飛散しないため健康的に被害はないと言われています。(スレート屋根はセメントによって高い密度で成形されています。アスベストが出てくるのは、切断したり割ったり穴を開けるなど壊すことによって飛散します)

石綿スレート葺きの屋根をリフォームする方法は2つあります。

  1. 撤去し新しい屋根材に葺きかえる
  2. カバー工法

どちらが良いかは、住んでいる住宅を今後、どのように考えているかによります。

現在の石綿スレート屋根が健康的に被害がないのか?などで気になる方はお近くの屋根のリフォーム会社に問い合わせるといいでしょう。

【2:小屋裏断熱】
小屋裏換気口がない住宅が多い。換気計画はなされていない。

小屋裏換気が不十分だと夏場は2階が蒸し暑くなり冬場は結露に悩むことになります。

【3:構造材(柱・梁)】
柱・梁などの構造材は90年代から人工乾燥材が使われるようになってきました。

梁や柱の接合部には金物が使用されるようになったが2000年以降に建てられた建物のように、しっかりした金物ではない。

【4:外壁】
窯業系サイディングが多い。本体に欠けや欠損などがないか目視で点検。シーリング部分は築年数が長くなることで劣化し亀裂・剥離が起こりその部分から雨水や湿気が侵入する。大きな地震がない限り本体に亀裂が走ったり板のズレは起こらないがシーリングと合わせて点検する。亀裂などがあれば早めの時期にリフォームしたほうが良い。水切りが施工されていない家もある。

窓はアルミサッシに単板ガラスの組み合わせ

【5:外壁周りの断熱】

外壁周りには袋入りの断熱材が使われるようになる。

【6:浴室(トイレ・洗面)】

浴室は、ユニットバス。トイレは洋式。水回りの換気が不十分な住宅が多い。

【7:キッチン】
I型キッチンが主流。LDKの間取りと合わせて対面式キッチンに変更するケースが多い。浴室やトイレなど水回り部は湿気などによって、構造材が傷んでいることが多い。構造材が傷んでいると傷んでいる部分を補修する手間が増える。つまり追加工事が発生することになる。

I型キッチンから対面式にリフォームする場合は、面積の確保に注意。
対面式キッチンにしLDKの内装を一新するリフォーム見積費用
では、費用と合わせて面積についても記載しているので確認しておいてください。

【8:床面の断熱】
床面の断熱材は全体の5割程度。

断熱材にはグラスウールのほか、ポリスチレンフォームが使われている。

【9:基礎】

基礎は鉄筋コンクリートの布基礎となり連続しているため耐震性が高い。

【10:床の段差】

1981年以前に建てられた建物ほどではないが、床面に段差がある。

【11:階段】

1981年以前に建てられた木造住宅のような急勾配な階段は少なくなり手すりも設けられている。
築年数18年~30年の木造住宅のリフォームポイント
1981年(昭和56年)の建築基準法改正では、新耐震基準が施工されました。
しかし、2000年以降の建物と比べると耐震性が弱いため構造について専門家の方に相談することをおすすめします。
構造と共に防湿対策・断熱性を高めることを優先しましょう。

築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅は間取り変更やインテリア中心にリフォーム計画を考える

2000年以降の建物は耐圧盤を兼ねたベタ基礎が増え、構造材には人工乾燥材や集成材が使われており、金物を使った接合により耐震性に優れた構造となっています。

構造面だけでなく外壁通気工法や透湿防水シートが普及するなど性能面の向上も認められる。設備ではシックハウス対策にもつながる24時間換気の導入もあります。
1981年に引続き、2000年(平成12年)には新耐震基準の改正によって木造住宅の構造性能をより向上させるための見直しがありました。

新耐震基準改正の内容

◆基礎の形状
事前の地盤調査が義務付けられ、地盤調査の結果をもとに地耐力に合わせた基礎の形状が明記された

◆柱頭・柱脚・筋交いの接合方法
柱の足元は土台と接合しています。柱の上部は梁と接合しています。地震の時、接合部分がゆるいことで柱と土台(梁)が切り離されてしまうという原因によって建物が崩壊してしまいました。

この現象を防止するため、金具の種類が明記されるようになった。

◆体力壁をバランスよく配置する
地震によって崩壊・倒壊する原因の一つに、建物を支える力が弱いところに地震によって生み出された力が一気に集まることで倒れる(部分的に崩れる)ことが分かりました。

この結果を踏まえて体力壁の量と共にバランスよく配置することが義務付けられました。

部分別リフォームポイント【築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅】

【1:屋根】
一般的にスレート屋根が多いが、瓦屋根も人気。スレート屋根は、軽量で安いですがメンテナンスが必要。塗装によって耐久性が保たれているので定期的なメンテが必要。10年を目安とし時期が近づくと早めに塗装することです。

瓦屋根の表面は耐久性が高く、半永久的にメンテナンスは不要。

【2:小屋裏断熱】
24時間換気設備が導入されることで夏は蒸し暑く、冬は結露という従来の問題を解消。

天井の断熱材はほぼ100%入っている。

【3:構造材(柱・梁)】
柱や梁といった構造材には人工乾燥材が使われ、集成材も見られるようになった。

ホールダウン金物をはじめ、柱・梁・筋交いの接合部にも金物で連結され構造用合板と合わせて耐震性が高くなった。

【4:外壁】
窯業系サイディング・木質系サイディング・金属系サイディングなど色々な種類のサイディングが普及している。メンテナンスは10~20年を目安に。

窓はアルミサッシと複層ガラスが増えている。

【5:外壁周りの断熱】
断熱材ほぼ100%入っている。

外壁通気工法や透湿防水シートが普及するなど断熱性だけでなく防水性も高くなっている。

【6:浴室(トイレ・洗面)】

ユニットバス、洋式便器、洗面化粧台など住宅設備機器の機能性は年々高くなっている。

【7:キッチン】
キッチンの面積にもよるが戸建て住宅の多くが対面式キッチンとなっている。

キッチンスタイルだけでなく機能性も高くなっている。

【8:床面の断熱】

壁・天井と同じく床も断熱材がほぼ100%入っている。

【9:基礎】

年代を追うごとにベタ基礎が増えている。

【10:床の段差】
1981年以前に建てられた木造住宅のように形式的な段差はなくなり、クライアント様の要望に応じて段差が設けられていることが多い。

(バリアフリーを意識した建物もあれば、対照的なスキップフロアを取り入れた内装も人気)

【11:階段】

2000年以前は、比較的階段は廊下の並びに設けられることが多かったが、LDK内に取り入れられるなど従来の間取りとは違った階段が見られる。

【12:内装材】
内装材にはF☆☆☆☆取得品が使われるようのなった

築年数18年未満(2000年以降)の木造住宅のリフォームポイント
耐震性は確保されているため、外回り(外壁・屋根)の確認を第一優先とし、間取り変更ヤインテリア中心に改善していきましょう。

まとめ

築年数によるリフォーム項目の目安を上記にまとめました。リノベーション(リフォーム)計画を進めるにあたって優先順位は、非常に需要になってきます。

そして、この優先順位は建物の外側(外壁・屋根)と構造性能の改善を1番に考えていかなければいけない。

築年数からリフォーム項目を考えるにあたって建築基準法改正が大きな基準となります。法改正によって木造戸建て住宅は、構造性能の観点からみると2回の大きな転換期があります。

  • 1981年の法改正
  • 2000年の新耐震基準の改正

2000年の新耐震基準改正前の建物は、構造(耐震性能)の改善を優先してプランや予算の計画を進めていく。

2000年の新耐震基準改正後の建物は、快適性やデザイン、外壁・屋根の外回りの見直しを中心にプランや予算の計画を進めていく。

2000年以前の建物にお住まいの方は、間取りの変更やキッチンなど設備機器の取り替えなどといった要望があるかもしれません。

上記でもお伝えしていますが、外回り(外壁・屋根)、構造性能の改善を1番に考え次に快適性やデザインという優先順位でリノベーション(リフォーム)計画を考えていきましょう。
リノベーションし芸術的な階段と大きく間取り変更した戸建て住宅の参考事例
では、クライアント様の許可を頂き、非常に詳しく木造住宅をリノベーション(リフォーム)した事例を計画段階からまとめています。