外壁塗装を早く終わらせられるアレスダイナミックトップってどういう塗料なんだろう?
最近かなり人気のあるラジカル制御の特徴を持ったアレスダイナミックトップ。
この塗料が気になって、色々と調べる中で、当ページにたどり着いたと思います。
このページでは
- アレスダイナミックトップの特徴
- 耐用年数や価格
- メリット・デメリット
- 私がこの外壁塗装でこの塗料を選ばなかった理由
などについて詳しくまとめています。
約30年、リフォームの設計・現場管理者の立場で外壁塗装を見てきた編集者が、アレスダイナミックについて解説していきます。
アレスダイナミックトップ(関西ペイント)の特徴
メーカー | 関西ペイント |
塗料名 | アレスダイナミックトップ |
耐用年数 | 15年 |
施工(塗装)方法 | ローラー、ハケ |
塗り重ね乾燥時間 (気温23℃) |
2時間以上 (気候や外気温度などによって異なります) |
希釈材 | 水 |
標準色 | 35色 |
下塗り材 | アレスダイナミックフィラー |
アレスダイナミックトップは、2016年に関西ペイントが開発・販売した外壁用の塗料です。
最近、とても人気が出ているラジカル制御型塗料の一つ。
価格が汎用のシリコン塗料と同等なのに、耐用年数が2~5年ほど長いため、アレスダイナミックトップを勧める塗装会社さんは多いです。
アレスダイナミックトップの評判
- ラジカル制御型の塗料なので塗膜が劣化しにくい
- 湿気に強く雨天でも作業することができる
- 臭気の少ない水性塗料なので臭いに敏感な人に勧めやすい
- 梅雨時期でも塗装できるので、塗装会社にとっては助かる
塗装会社さんの個人的な主観もありますが、ラジカル塗料の中では関西ペイントのアレスダイナミックトップが1番という人は多いです。
※「ラジカル制御」については、後程、詳しく解説します。
アレスダイナミックトップの悪い評判
- 他のラジカル塗料と比べると金額が若干高め
- 強化剤を使うとツヤが消せないため、艶消しが良い人には向かない
ラジカル塗料の中では、価格が高めなので、価格重視の人は他のラジカル塗料を選ぶケースが多いです。
ラジカル制御型塗料とは?
アレスダイナミックトップのカタログより抜粋
ラジカルというのは、劣化因子のことです。
塗料の主成分である「酸化チタン」に紫外線があたると、この因子(ラジカル)が発生します。
ラジカルが発生すると塗膜を破壊しチョーキングやひび割れといった症状が起きやすくなります。
であれば! 酸化チタンに紫外線が当たらないようにしよう!
この発想から、酸化チタンをバリヤコートで包んでしまうんですね。
こうすれば、酸化チタンに紫外線が当たらなくなってしまいます。
でも、微量ですがバリアコートをすり抜ける紫外線が・・
バリヤコートで酸化チタンを包んでも、微量ですが紫外線がすり抜け、酸化チタンと接触
HALSラジカルキャッチャーで捕獲し全て無害化。
このように劣化因子であるラジカルを全て封印してしまった塗料のことをラジカル制御型塗料と呼んでいます。
アレスダイナミックの耐用年数
アレスダイナミックトップの耐用年数は15年。
劣化因子であるラジカルを制御する機能により耐久性はアップ。
上の画像は耐久性が高いため、30年スパンで見た時の塗り替え頻度を表しています。
アレスダイナミックトップ | 2回 |
従来のフッ素塗料 | 2回 |
従来のシリコン塗料 | 3回 |
アレスダイナミックトップの㎡単価と見積り価格
アレスダイナミックトップの㎡単価は、2,600円~3,000円。
下記の表はシリコン塗料とフッ素塗料との比較表です。
塗料 | 耐用年数 (年) |
施工㎡単価 (㎡/円) |
アレスダイナミックトップ | 15 | 2,600 |
フッ素塗料 | 15~20 | 3,800 |
シリコン塗料 | 10~15 | 2,200 |
この表からも分かると思いますが、最上位品フッソ塗料に迫る耐用年数。
ただ、他のラジカル制御塗料と比べると㎡単価は、若干高いです。
アレスダイナミックトップ | パーフェクトトップ | プレミアムシリコン | |
メーカー価格(/㎡) | 3,300円~ | 2,930円~ | 2,750円~ |
取引価格の目安(/㎡) | 2,600円~ | 2,300円~ | 2,500円~ |
耐用年数 | 約15年 | 12~15年 | 12~16年 |
パーフェクトトップやプレミアムシリコンに比べるとアレスダイナミックトップは、少し高くなりますが、早く外壁塗装を終わらせたい場合は、アレスダイナミックトップが一番魅力的と言えます。
外壁塗装が早く終わる理由については後述します。
■アレスダイナミックトップの見積り価格
約35坪の2階建て戸建て住宅の場合としています。
アレスダイナミックトップの見積りの価格相場は、859,000円(税抜き価格)です。
以下の表は、内訳金額になります。
仮設足場 | 153,000円 |
養生シート | 25,000円 |
高圧洗浄 | 13,000円 |
下地処理 | 48,000円 |
付帯物塗装 | 150,000円 |
外壁塗装 ■下塗り アレスダイナミックフィラー ローラー ■中塗り アレスダイナミックトップ ローラー ■上塗り アレスダイナミックトップ ローラー |
施工(㎡)単価 2,800円 420,000円 |
現場管理費 | 25,000円 |
諸経費 | 25,000円 |
見積りの価格相場 (税抜き) |
859,000円 |
ラジカル塗料で外壁塗装した場合の相場価格をもっと知りたい方は「相場価格は?30坪の家を外壁塗装した場合のシミュレーション費用」を参考にしてください。
アレスダイナミックトップの標準色(色見本)
カタログにある色見本をカメラで撮影しました。
実際で見るより、若干の色違いがあるかもしれませんので、詳しくは塗装会社に色見本を頼んでください。
劣化因子「ラジカル」の発生原因「酸化チタン」は白色に近い色ほど多く含まれています。
一方、黒に近い濃い色は、もともとラジカルの発生量が少ないためラジカル制御型の塗料を使う意味があまりありません。
人気色は汚れが目立ちにくいベージュやアイボリー、ライトグレーなどです。
これらの色は、ラジカルが発生しやすい色なのでラジカル制御型の塗料を使うメリットがあります。
アレスダイナミックトップの適用下地
アレスダイナミックトップの適用下地を以下の表にまとめました。
サイデングボード | 〇 |
コンクリート | 〇 |
モルタル外壁 | 〇 |
ALC | 〇 |
鉄部 | × アレスダイナミックトップマイルドなら塗装可能 |
アレスダイナミックトップのメリット
以下、アレスダイナミックトップのメリットについて詳しくお伝えしていきます。
湿気が多い中でも外壁塗装ができる
日本建築学会や国土交通省では、「気温5度以下、湿度は85%以上」と塗装できる気温や湿度が決められています。
塗装工事にとって湿気って大敵なんですね
塗料が外壁に密着できず剥がれたり膨れる、塗料の持つ機能が発揮されない、長持ちしない
といった危険性があるから湿度が高いと塗装工事をストップせざるを得ませんでした。
そのため、夏の高湿度は塗装会社を悩ませますし、塗装工事が長引くことでお客様も困ります。
その点、アレスダイナミックトップは、強化剤を混ぜることで湿潤面への塗装も可能になったんですね。
悪天候や現場の状況による工期遅延が少なくなるのは、お客様の立場からしてもうれしいことだと思います。
ラジカル制御によって耐用年数が長い
外壁は紫外線にさらされることで、劣化がどんどん進んでいきますが、ラジカル制御という機能をはじめ、超低汚染、強力な付着力、耐候性などの良さから長持ちするお家にすることができます。
安全で低刺激
油性塗料に比べて、水性塗料は人体や環境にやさしい塗料です。
また、シンナー臭や目鼻への刺激が溶剤系塗料に比べて低く抑えられます。
アレスダイナミックトップのデメリット
アレスダイナミックトップのデメリットを詳しく解説していきます。
専用の下塗り塗料を使う必要がある
アレスダイナミック専用の下塗り材以外だと、付着力が低減し効果を最大限に発揮できない可能性があります。
下塗り・中塗り・外塗りの3回が基本で、付着力を高めるといったことから、アレスダイナミックフィラーという下塗り材が推奨されています。
そのため、別の下塗り材を使うと、アレスダイナミックトップの本来の効果を最大限に引き出すのが難しくなる可能性があります。
強化剤を使うと艶ありになる
アレスダイナミックトップでは艶あり、7分艶、5分艶、3分艶ツヤなしの5種類から選ぶことができます。
ただ、湿潤面でも塗装可能にする強化剤を混ぜるならツヤありが条件となります。
そのため、自然な感じのマットな仕上がりを好む方には、あまり向いていない塗料と言えます。
実績が少ないので耐用年数が実証されてない
2016年に販売されたばかりの塗料なので、10年後の仕上がり状況がどうなのか?
10年後には、何かしらの劣化症状は現れるのか?
この検証がまだできていない状態です。
このことが不安で、シリコン塗料もしくは、フッ素塗料を選ぶ方もいらっしゃるようです。
ただ、実績を積み重ねた関西ペイントさんがあらゆるテストを経たあとで「シリコン塗料よりも長い」と言っているので、心配ないでしょう。
アレスダイナミックトップがおすすめな人
アレスダイナミックトップがおすすめなのは以下のような事を考えている方です。
15年持つ塗料を探している
フッ素塗料は高すぎる・・。
でも耐用年数15年はほしいという方には、おすすめです。
アレスダイナミックトップは、ラジカル塗料の中でも最長クラスです。
外壁塗装を早く終わらせたい
早く外壁塗装を終わらせたい!という人にはおすすめです。
外壁塗装は約10日かかり、日曜日を挟むと11日。
雨天の関係で工事が2日伸びるとして、約2週間はかかります。
梅雨時などは、さらに2~3日工事が伸びることがあるのですが、アレスダイナミックトップであれば、強化剤を使うことによって、最短の11日で終了することが可能です。
水性塗料で外壁を塗装したい
- 隣近所への負担
- 臭いに敏感
- 犬や猫などペットがいるご家庭
は特にこの臭いを気にするかと思います。
水性塗料はシンナー臭がほとんどないので安心です。
外壁は水性ですが、玄関ドア・手摺(鉄)などは、油性塗料を塗ります。
外壁の塗り替えに比べると面積的に少ないですが、やはり臭いはけっこうしました。
私の家には犬がいるのですが、臭いで痙攣が1日止まりませんでした。
後になってこのことに気づき、もっと早くに気づいてあげれればと思いました。
もし、ペットがいるのでしたら、臭いに敏感なので油性塗料を使う時はホテルに預けることをおすすめします。
アレスダイナミックシリーズの特徴
アレスダイナミックシリーズには、アレスダイナミックトップ以外に上位版の塗料や屋根に塗装する塗料があります。
以下にアレスダイナミックシリーズの主な塗料名と特徴をまとめました。
中・上塗り塗料名 | 特徴 |
アレスダイナミックトップ | ラジカル制御型の外壁塗料 水性 耐用年数15年 |
アレスダイナミックトップマイルド | ラジカル制御型の外壁塗料 油性 耐用年数15年 |
アレスダイナミックMUKI | アレスダイナミックトップの上位版 外壁用の無機塗料 水性 耐用年数15年~ |
アレスダイナミックMUKIマイルド | 外壁用の無機塗料 油性 耐用年数15年~ |
アレスダイナミックルーフ | ラジカル制御型の屋根塗料 油性 耐用年数15年 |
アレスダイナミックルーフMUKI | アレスダイナミックルーフの上位版 屋根用の無機塗料 油性 耐用年数15年~ |
中・上塗り塗料名 | 特徴 |
アレスダイナミックフィラー | サイディング外壁に使われることが多い |
アレスダイナミックプライマー | 鉄部用 |
アレスダイナミックシーラーマイルド | 無機系に使われることが多い |
アレスダイナミックトップに関するQ&A
アレスダイナミックトップに関するよくある質問と回答を以下にまとめました。
アレスダイナミックトップマイルドとの違いは?
アレスダイナミックトップとアレスダイナミックトップマイルドの大きな違いは、水性が油性の違いです。
- アレスダイナミックトップ:水性
- アレスダイナミックトップマイルド:油性
耐用年数は共に15年。
アレスダイナミックトップマイルドは、油性なので鉄部に塗装することが可能です。
アレスダイナミック強化剤とは?
アレスダイナミックトップや下塗り塗料のアレスダイナミックフィラーにアレスダイナミック強化剤を混ぜて使うことで、湿潤面でも塗装を可能にしてくれます。
湿気の多い梅雨時期は、外壁面が湿気によって濡れてることがあります。
通常の外壁塗料では塗装ができませんが、アレスダイナミックトップの場合、強化剤を入れることによって湿潤面でも塗装が可能になります。
外壁塗装には向いてる季節と向いてない季節があることをご存知ですか?
ご存知ない方は、今後の塗装計画のため「外壁塗装前に必見【塗り替えに適した時期(季節)とは?】」をぜひご覧ください。
アレスダイナミックトップの人気色は?
汚れが目立ちにくいベージュやライトグレー、クリーム色が人気色です。
私の家の外壁はブルーグレーなのですが、28年メンテンナンスしなくても汚れがほとんど分かりませんでした。
白色や黒色も人気色ですが、汚れが目立つというデメリットがあります。
もし、色に悩んでいるのでしたら参考に「人気の外壁の色は?【理由あって選ばれてるBEST5】塗装前に要確認」をご覧ください。色が選びやすくなるかもしれません。
我が家の外壁にアレスダイナミックトップを使わなかった理由
実は私も最近、外壁塗装と屋根のカバー工法を済ませたばかりなんです。
塗装会社さんからアレスダイナミックトップを勧められましたが最終的にお断りしました。
その理由は、外壁に熱膨れという劣化症状があったからです。
アレスダイナミックトップを塗装すると、2~5年後に塗膜が膨れ破裂する可能性がありました。
最終的にこの劣化症状を対策できる下塗り塗料と遮熱性のある上塗り塗料で塗装することにしました。
このことについては「【実録】スタッコ仕上げの外壁に熱膨れ。塗り替えに使う塗料は?」で詳しくまとめていますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
アレスダイナミックトップは優れた塗料ですが、お家の外壁(劣化症状)に合った塗料を選ぶことも大切です。
一つの目安として
外壁塗装で使われる塗料は、他にも数百種類もあり、その中から自宅にあった塗料を選ぶのは、とても大変・・。
予算や対応年数を含めて
・外壁の素材
・建物の立地条件
・劣化状況
・日当たり
など総合的な判断が必要です。
ヌリカエを使えば、17の選択式の質問に答えるだけで、外壁の状態だけでなく予算に合った塗料の目安を知ることができます。
あくまで見積比較サービスです。
私自身、比較するために活用しました。
外壁塗装会社の質の他に、現状の外壁の劣化状態や、外壁塗装の相場、塗料の比較として使ってみると良いですよ。
まとめ:アレスダイナミックトップ(関西ペイント)について
アレスダイナミックトップは、とにかく早く外壁塗装を終わらせたいという人におすすめです。
湿気が多いなかでも塗装できるのは、アレスダイナミックトップのみで、他のラジカル塗料には、そのような性能が備わっていません。
ただ、他のラジカル系塗料と比べると若干、金額が高いです。
そのため、なるべく費用を抑えたいという人は他の塗料と比較してみるといいでしょう。
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