外壁塗装は、家を長持ちさせるために必要不可欠なメンテナンスなんですが・・
外壁塗装の費用って高額だから、失敗しないために色々と考えてしまいます。 でも、結局どんなことに気をつけるべきかが分からなくて・・。
悩んでしまうと思うように計画って進められないですよね。
このページでは、外壁塗装で失敗しないための対策を6つに分けてお伝えしています。
約30年、建築設計者の立場で外壁塗装を見てきた編集者が実際の体験談も含めて詳しくまとめています。
以下を読むことによって失敗を最小限に抑えることができますので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装を後回しにすると失敗することに
お家のメンテナンスで一番重点的に行わないといけないのは、外回りです。
外回りとは、外壁や屋根のことです。
この外回りの劣化を放置すると、雨水が侵入して家を支える柱や梁が腐食しボロボロになってしまいます。
このように家を支えている柱や梁などの骨組みが傷むと
家そのものの耐久性が弱くなってしまい、補修工事にかかる費用は外壁塗装工事の何倍にも膨れ上がってしまいます。
劣化症状と緊急度
■変色、退色<緊急度【小】> 塗膜が劣化すると色が薄くなるなど退色していきます。 参考記事:色褪せない外壁の色は?【知らないと損する5つの事】 |
■チョーキング<緊急度【中】> 塗膜が劣化すると外壁表面に白い粉が吹きます。 参考記事:外壁のチョーキングとは?白い粉を落としても大丈夫? |
■ひび割れ(クラック)<緊急度【小~大】> 塗膜の劣化や地震などによって外壁表面にひび割れ(クラック)が生じます。 参考記事:外壁のひび割れ【緊急度チェック】補修方法など建築士が体験談を含め徹底解説 |
■塗膜の膨れ(剥がれ)<緊急度【中~大】> 外壁表面温度が高くなり塗膜内部の水分が蒸発する時に塗膜が膨れ、やがては剥がれていきます。 参考記事:【実録】スタッコ仕上げの外壁に熱膨れ |
■ピンホール<緊急度【中】> 塗膜に小さい穴ができます。(施工不良) 参考記事:外壁塗装後にピンホールがある? |
■コーキング<緊急度【中~大】> コーキング部分が劣化するとひび割れたり欠けてきます。 |
緊急度が高い症状が現れましたら、工務店さんや塗装業者さんに見てもらうなど、早めの対処をおすすめします。
外壁の劣化症状について詳しく知りたいという方は、「雨漏り?外壁の劣化が心配。5つの劣化症状と対策」でもまとめているので参考にしてください。
失敗しない為に複数の外壁塗装会社に見積依頼
判断基準となる相場が分からなければ、高い安いの判断ができないだけでなく、悪徳業者の対策もノーマークということになります。
2020年、国民生活センターには住宅リフォームに関する被害が14,000件以上報告されましたが、そのうちの大きな割合を占めるのが外壁リフォームです。
複数の業者から見積を取ることは、相場を把握できるだけでなく
- 塗装会社の質
- 整合性を図る
といったことにも役立ちます。
編集者も最近、外壁塗装を済ませました。
現地調査を行った結果、熱膨れという対処が難しい劣化症状が出ていたんです。
複数の塗装会社に見積を依頼し、それぞれの意見を聞く事によって最適な対策を提案してくれた塗装会社さんと出会うことができました。
1社だけでは、知ることができなかったことを思うと、複数社の意見を聞いてよかったと思っています。(詳しくは「施工不良で悩みたくない!外壁塗装前の現地調査の時に見ておきたいたった1つの事とは」でまとめています。)
それと、安い工事費をちらつかせて
「今すぐ」
という口説き文句で営業する業者は、NGだということを覚えておいてください!
どのような業者が危険かについては「外壁塗装に潜む悪質な業者の手口と対処法」でまとめています。
外壁塗装で失敗しないために見積書や調査報告書は要チェック
現地調査が終わると、現地調査で調べた内容をまとめた「調査報告書」と「見積書」を塗装会社が持ってきてくれます。
そして、調査報告書の内容と見積書の内訳を説明してくれます。
ここで見るべきポイントは
- 調査報告書の精度
- 見積書の精度
- 説明する態度や、分かりやすさ
調査報告書の精度
外壁をチェックしてない塗装会社の調査報告書は、内容がとても薄いです。
逆に、きちんと調べている塗装会社の調査報告書の精度がとても高いです。
見積書の精度
ほとんどの塗装会社は、きちんと内訳を記載しています。
ただ、中には内訳がなく「一式」でまとめていたり、手書きで分かりにくい見積書を出す塗装会社もいます。
説明する態度や、分かりやすさ
- 態度が横柄
- 説明が分かりにくい
といった塗装会社は省くべきです。
ろくに説明もせずに契約を急かすような塗装会社はなおさらです。
工事金額が一番安かったとしても、「態度が横柄」「説明が分かりにくい」「質問したら面倒くさそうに返す」というような塗装会社は関わらない方がいいです。
塗装会社はプロです。
しかし、塗装会社によって
- 調査報告書の精度
- 見積書の精度
- 説明する態度や、分かりやすさ
に大きく差があるということを実際に体験しました。
このことについては、「【実録】塗装会社10社に見積依頼。評判の悪い会社はいなかったけど」で詳しくまとめています。
失敗しないために外壁に塗る色は慎重に決めよう
外壁に塗る色を決め⇒外壁塗装が終わる⇒足場が撤去される。
お家の外観を見た時「イメージしていたのと違う・・。」
色で失敗する最も多いケースが、「イメージしていた色」と「実際の外壁の色」が違うことです。
どうして、イメージ通りの色にならなかったのでしょう。
イメージとは違って見える面積効果とは
お客様の中には、塗装会社さんが品番を間違えたから、イメージと違う色で仕上がってしまったと勘違いされる方がいらっしゃいます。
中には、品番を間違えて発注している例もありますが本当に稀です。
色見本で指定した品番で合っているのに、実際の外壁の色と違うように見えるのは面積効果によるものです。
面積効果?
面積効果というのは、広い面に塗ることで、より明るく見えるという効果です。
「A4サイズの色」よりも「外壁に塗られた色」のほうが明るく見えます。
イメージと違うのは、これが原因です。
特に白に近い色ほど、広い面積で見ると薄く見えます。
そのため、白色、アイボリー、ベージュ、ライトグレー、水色など白色に近い色は、要注意です。
何かしらの対策はないの?
対策
例えば、ライトベージュを選ぶとします。
白に近いので、広い面積に塗るほど薄く見えます。
なので、色見本を塗装会社に頼む時にはA3サイズにしてもらい
- 好みのライトベージュ
- 一つ濃いライトベージュ
- さらに一つ濃いライトベージュ
の3つを用意してもらい、外壁に立てかけてみます。
このようにすることで面積効果によるイメージ違いを最小限に抑えることができます。
外壁の色褪せと汚れ
残念ながら、外壁塗装をしても塗膜には、寿命があるため色褪せたり汚れたりします。
特に色褪せや汚れが目立ちやすい色を選んだ方は、ショックに感じることがあるようです。
この色褪せや汚れは、対策できます。
ただ、人によって好みの色というものがあり、これからお伝えすることが解決策にならないこともあるのでご了承ください。
外壁の色褪せについて
色褪せについては
- 耐用年数が長い塗料を選ぶ
- 色褪せが目立ちにくい色を選ぶ
- 遮熱塗料を選ぶ
で対策することができます。
■ 耐用年数が長い塗料を選ぶ
フッソ塗料や無機塗料など耐用年数が長い塗料を選ぶことで、塗膜の劣化速度を遅らせることができます。
耐用年数が長い塗料であれば、20年以上にもなります。
塗料については下記の【失敗しないよう外壁塗料は慎重に選ぶ】でまとめています。
■ 色褪せが目立ちにくい色を選ぶ
色褪せが目立ちにくい色は、ベージュやグレーなどです。
編集者の家の外壁はブルーグレーの色です。
築28年で外壁塗装しましたが、外壁の色褪せや汚れは、ほとんど分かりません。
ハッキリと分かるのは、錆のシミと竪樋の色褪せくらいです。
色褪せについては「色褪せない外壁の色は?【知らないと損する5つの事】」で詳しくまとめています。
■ 遮熱塗料を選ぶ
黒色など熱を吸収しやすい場合、化学反応によって塗膜が劣化しやすくなります。
そこで遮熱塗料の出番です。
遮熱塗料は、赤外線(熱)を反射する機能が備わっています。
そのため、塗膜は熱により劣化しにくくなります。
同時に、建物内部への放射も少なくなるので、快適性アップも期待できます。
編集者の家は、熱膨れという劣化症状が現れていたのですが、遮熱塗料によって対策しました。
このことについては「超低汚染リファイン塗料の見積価格と㎡単価。遮熱性で熱膨れ対策?」でご覧になれます。
外壁の汚れ対策について
外壁の汚れについては
- 低汚染性塗料を選ぶ
- 中間色を選ぶ
- ツヤありを選ぶ
で対策することができます。
■ 低汚染性塗料を選ぶ
低汚染塗料は、汚れを洗い流す性能がある塗料のことです。
外壁に付着する汚れは、親油性の汚れ(排気ガス)です。
水と油は、馴染むことはなく弾きます。
これを応用してできた、親水性塗料は、油を弾いてくれます。
「親水性が高い塗料=低汚染性塗料」ということですね。
雨が降ると外壁に付着した汚れは、浮きだって流されていきます。
低汚染塗料については「低汚染塗料は汚れを洗い流す?一般的な塗料と比較」で詳しくまとめています。
■ 中間色を選ぶ
外壁に付着する汚れは、砂埃・排気ガス・雨シミによるもので中間色です。
そして、中間色に近いベージュやグレーといった色で塗り替えると、汚れが目立ちにくくなります。
編集者の家の外壁も中間色(ブルーグレー)なので汚れは、ほとんど分かりません。
スッタコ模様なので汚れが溜まりやすいはずなのですが、全く汚れを感じさせません。
(竪樋は色褪せているのが分かります。)
ただ、色は好みによるのです。
中間色が好みでないという方は、上記でまとめた低汚染塗料を選ぶことをおすすめします。
■ 艶あり塗料を選ぶ
具体的には、低汚染塗料+艶ありを選ぶのがベストです。
艶があると、外壁表面がツルっとしていて汚れが付着しにくくなります。
その上、親水性が高い低汚染塗料にすることで、より汚れにくい外壁にすることができます。
失敗しないよう外壁塗料は慎重に選ぶ
あらかじめ「予算」と「希望する耐用年数」から塗料を選んでおくと塗装会社と具体的な話をすることができますよ。
全てを塗装業者さんにお任せするのもいいですが、ある程度知っておくほうが、納得しながら進められますし、後々のトラブル回避にもつながります。
各塗料の耐用年数と取引価格については、表にまとめているので塗料選びの参考にしてください。
■塗料 | ■耐用年数 | ■取引価格 |
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,600円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 2,100円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2,300円/㎡ |
ラジカル塗料 | 12~16年 | 2,400円/㎡ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 4,500円/㎡ |
無機塗料 | 20~25年 | 5,200円/㎡ |
上記の表にある塗料の中で、現在最も使われている外壁塗料は
- シリコン塗料(シリコン塗料の特徴は?評判や価格・耐用年数なども要チェック)
- ラジカル塗料(ラジカル塗料の評判は?耐用年数や費用などについて深堀)
- フッ素塗料(価格が高いフッ素塗料。耐用年数は長いけど特徴や評判は?)
- 無機塗料(無機塗料最強説。耐用年数や価格を含め実際のところは?)
の4種類になります。
目安として、30坪の家にシリコン塗料やラジカル塗料を塗装すると
見積価格:約80万円~110万円
耐用年数:10年~16年
外壁の劣化状況・日当たり状況など、お家の状態によって希望する塗料が向かない場合があります。
編集者の家がそうでした。
熱膨れのため、使う塗料が限られていたんです。
このことについては「スタッコ仕上げの外壁に熱膨れ。塗り替えに使う塗料は?」
後悔・失敗しないよう外壁塗装の減額方法を調べておく
外壁塗装の費用って抑えることができるのかな~?
できます!と断言することはできませんが
費用を抑える方法はあります。
外壁塗装の費用を安く抑える方法は、主に5つに分けられます。
外壁塗装のプロに聞く
外壁塗装は、見積書を作成したプロ(塗装業者さん)にしか分からない減額案があります。
作業性であったり、塗料であったり、プロならでは視点から考えた減額案は、お客様がいくら考えても出てこないものです。
そのため、予算オーバーであったり、少しでも減額したいという方は、方法について塗装業者さんに聞いてみてください。
外壁塗装工事でも利用できる減税
外壁塗装を含めてリフォームのためのリフォームローンでも住宅借入金等特別控除を受けられることがあります。
住宅借入金等特別控除とは、外壁塗装工事でも利用できる減税で「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」とも言われています。
・工事が100万円を超えている
・ローンの返済期間が10年を超えている
などいくつかの条件がありますが、その条件に当てはまる方は、減税を受けることをおすすめします。
助成金
外壁塗装工事には、最大20万円ほどの助成金が支給される可能性があります。
助成金は広く認知されているため、ご存知の方も多いと思います。
もし、助成金についてお考えの方は、早めのうち(見積依頼)に塗装業者さんに
「助成金を受けたい」
と申し出てください。
助成金を受ける条件に当てはまるようでしたら、塗装業者さんがアドバイスしてくれます。
※塗装業者によって助成金に詳しい方と、そうでない方がいます。
できれば、複数の業者さんに聞いてみることをおすすめします。
火災保険の利用
火災保険と外壁塗装って関係あるの?と思う方も多いのはないでしょうか。
外壁の劣化状況によっては、火災保険を受けることができます。
どの程度の劣化状況であれば、火災保険が適用されるかは、大方塗装業者さんであれば把握することができます。
(火災保険に詳しい塗装業者さんに限ります)
複数の塗装業者さんから見積を取って比較する
一社から見積を取るだけでしたら、その金額が「高い・安い」の判断ができません。
そのため、コストを少しでも抑えたい方は、複数の業者さんから見積を取ることをおすすめします。
見積を何社かに依頼するのは、大変ですが失敗するリスクを減らすこともできますよ。
上記の5つの減額方法についてさらに詳しく知りたいという方は「外壁塗装工事の費用を安くする5つの減額方法」をご覧ください。
まとめ(外壁塗装で失敗しないために)
以上が外壁塗装計画を進める時に注意した6つのポイントになります。
上記6つの中で一番に伝えたい事は、複数社の意見を聞き整合性を図りながら進めていくのが一番現実的で失敗を最小限に抑えることができます。
初めての外壁塗装の場合、まだ理解できないこともあるでしょうが、塗装計画を進めると次第に分かるようになってきます。
なので、あせらずじっくりと進めてください。
編集者は、3月頃に4社に見積依頼。
5月頃にさらに4社に見積依頼。
7月頃にさらに2社に見積依頼をし、最終的に9月の中頃に契約し工事は10月の半ばからです。
約6か月かけてじっくりと進めました。
塗装会社の中には急かす会社もいますが、あなたのペースでじっくりと進めてください。
上記でまとめた内容が、あなたの外壁塗装計画に少しでも役立てれたら幸いです。